アナベルの紫陽花 (ページ27)

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深澤さんは午後から休みを取ったらしく、家にいるよ、と連絡があった。

ずっと上の空だったから、終業のチャイムが鳴って仕事をすんなりやめられた。

今日の労働は終了。

家につくと、部屋に入るより前に腕を引かれ洗面所までつれてこられた。

「Aちゃんおかえり。
　着替えてきたら、部屋まできてね。」

簡単な着替えは脱衣場に置いてあるから、着替えを済ませる。

着替え終え戻ると、部屋には花束が置かれていた。

「誕生日おめでとう。
　ずっと待たせてごめん。
　……俺と結婚してくれませんか?」

深澤さんはパカリと箱を開く。

開いた箱の中には小ぶりで控えめに輝く指輪が入っていた。

深澤さんが指輪を取ると、わたしの左手につけた。

「……うん。似合う。」

わたしの左手を見ながら深澤さんは微笑んだ。

「俺は、君より7つも年上だから、不安にさせてしまうことも多いかもしれない。
　それでも…これからもずっと好きでいる自信があるよ。」

深澤さんは手を絡めながら、真っ直ぐとこちらを向いて話した。

「もう一度いいます。
　俺と結婚してください。」

返事の代わりに、わたしは深澤さんの胸の中へと飛び込む。

返事は?と聞かれ、答える代わりに深澤さんにキスを落とす。