思い出のオンボロバイク《龍宮寺堅》

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『心配したのに…！』
「にしても、消火器はねぇだろ」
「Aちゃんって意外と抜けてるよな」
「そんなとこが可愛いんだよなー、ケーンチン？」
「ンな事誰が言ったよ、マイキー！ぶっ殺すぞ！」
「は？ケンチン、俺とやる気？」



お互いの胸ぐらを掴みながら言い合う龍宮寺君とマイキー君。
そんな2人に圧倒されながら三ツ谷君を見れば、苦笑いをしながらいつもの事だと言っている。



「つーか、Aちゃん、髪の毛めっちゃ崩れてる」
『あー、さっき走ったから…』



あんなに動画を見ながら練習した髪型も必死で走って見るも無惨になってしまっていた。



「直す？俺、妹の髪の毛やらされてるから得意だけど」



そう言って、一旦髪の毛を解いて手櫛を通した三ツ谷君は1つにまとめて綺麗なお団子ヘアーにしてくれた。



「櫛もねぇし簡単なのしか無理だけど、とりあえず何とかなるだろ」
『ありがとう』
「さて、あの2人はいつまでやってんだ…」



まだ言い合いを続ける龍宮寺君とマイキー君に、ハァと溜め息を溢しながら間に入って行く。
三ツ谷君の説得もあって、何とか落ち着いた2人だがまだ少し鼻息が荒い。



『フフ、仲良いね』
「「あぁ！？」」
『ハモってるし、仲良すぎ』



笑う私の前に来た龍宮寺君は、三ツ谷君に後を頼むとお願いして消火器を抱えて夏祭りの会場へ。



「おい、A！てめぇが来ねぇと返せねぇだろ！」
『え、あ！ごめっ……』



三ツ谷君とマイキー君にさよならを言って、少し不機嫌な彼を追いかけた。






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