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携帯を忘れた事を思い出した私は一瞬で頭が先程感じた白さとは違う白になった。
まぁ、今の時間は両親は仕事で連絡はつかない。
手渡されたメモに自分の名前と携帯の番号を記入して、歩いて帰る旨を伝えるとタトゥーの彼は盛大な溜め息を吐いた。



「クソあっちぃのに歩ける訳ねぇだろ」



ギラギラと照り付ける太陽は容赦がなかった。
店内から外を見て、うっ…と尻込みする私の耳に届いたのはチャリンという金属音。



「送ってやるよ」



私の返事など聞く事もなく、ガレージへ向かう。
そこで作業をしていた人に丁寧に挨拶した彼は、隅に置いてあった大きなバイクに跨った。
受け取れと、言って彼が投げてよこしたのは黒いヘルメット。
白い龍のステッカーの貼られたソレは私が被っていた物よりも少し重いフルフェイスタイプのもだった。



『………』
「んーだよ、被り方分かんねぇのか?」
『や、ヘルメットなら被ってきたやつが…』
「原付よりスピード出るからなー、女なら顔守っとけ。まぁ、事故る訳ねぇーけど」



そう言って口角を上げて笑う彼はヘルメットを被る事なくエンジンをかけた。
オンボロバイクの消え入りそうな音とは違ったマフラーの音が響く。
エンジンをふかせばブォンブォンと鳴るソレに驚きながらもタトゥーの彼が乗るバイクのタンデムシートに跨った。



「ベルト、しっかり持っとけよ」
『は、はい!』



行くぞーと緩い掛け声の後に、走り出したバイク。
兄の年代物の原付とは違うスピードに身体が持って行かれそうなのをベルトを持つ手に力を込めて必死に耐えた。
風を切って進む度に目の前を金色の髪が揺れる。

時折、大丈夫かと声をかけてくれるものの返事をする余裕などなかった。
ただ流れて行く景色がいつもよりキラキラとして見えたのは、彼との距離が近かったからかもしれない。





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きりまる(プロフ) - 月代皨さん» わぁ〜!そんな風に言って頂けて嬉しいの極みです…(´;ω;`)ありがとうございます!半間氏の小説もありがとうございます……!ゆっくり更新ですが頑張りますっっ!!! (2021年10月29日 20時) (レス) id: 684e8f5b6d (このIDを非表示/違反報告)
月代皨(プロフ) - よ更新待ってよかった〜!!とても素敵な作品でした!半間の小説も拝読させて頂きます……!これからも頑張ってください! (2021年10月29日 12時) (レス) @page42 id: b8769a82e7 (このIDを非表示/違反報告)
きりまる(プロフ) - ゆさんさん» 初めまして(*´∀`*)コメントありがとうございます!嬉しいです!もうすぐ続きを更新できそうですのでお待ち頂けると幸いです\(^o^)/ (2021年9月14日 23時) (レス) id: 684e8f5b6d (このIDを非表示/違反報告)
ゆさん(プロフ) - はじめまして!ドラケンかっこよすぎます!続き楽しみにしてますね!更新頑張って下さいヽ(●´∀`●)ノ (2021年9月14日 10時) (レス) id: 362f4d269d (このIDを非表示/違反報告)
きりまる(プロフ) - あけりさん» そんな風に言って頂けるとめちゃくちゃ嬉しいです(´▽`*)ゆっくりペースですが、カッコいいドラケンを書けるように頑張ります!宜しくお願い致します(^ー^) (2021年9月1日 0時) (レス) id: a5f16a2551 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:きりまる | 作成日時:2021年8月19日 21時

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