君に花言葉《灰谷蘭》 (ページ21)

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"アイツ、処女だぜ"

竜胆の言葉を聞いた瞬間走ってた。
オレの事が好きなんだろうと思ってはいたが、まさか…だった。

蘭ー！

らぁーん！

蘭ちゃーん！

怒ってる時、楽しい時、甘えてる時、その都度呼び方が変わるA。
忙しい奴って思ってた。
オンナっつーよりダチって感じで、ダチっつーより兄弟みたいな感じだった。
オレと竜胆とA、Aは絶対真ん中でオレと竜胆、両方と腕を組むのが好きだった。
ガキの頃の写真もそんなんばっかだ。

対象外だった。

自分のオンナなんかにするのは勿体ないくらいオレには必要な奴で、竜胆みたいに当たり前に側にいる奴。

竜胆のオンナに興味を持ったのは、自分の周りにいる軽いオンナ達と違う事に加えて、Aから少し距離を置こうと思ったからだ。
オレが側にいたら、アイツの為にならない。
喧嘩してタバコ吸って、サツの世話になるようなオトコが側にいるなんて噂になればアイツの将来に関わる。

でも、やっぱ離れる事なんか出来なかった。

「兄貴はAが好きだと思ってた」

多分、竜胆のオンナを好きになるよりもずっと前に好きだったんだろう。
それを対象外だと自分で認めなかっただけだ。

通い慣れたAの家の前。
息切れとかマジだせェから息を整えていれば、オバサンに見つかった。

オレの顔を見ただけで「部屋に居るわよ」って笑って家にあげてくれたオバサンに頭を下げてAの部屋に向かう。
数ヶ月前に泊まったぶりのAの家は何も変わってない。

ーーーノックぐらいしてよ、蘭の馬鹿！

脳裏に浮かんだAの言葉。
あの頃みたいに馬鹿言って一緒に居てェなってらしくねェ事思うのも、相手がAだからだ。

『私はあなたを愛しています……』

Aの部屋から聞こえてきたその言葉にいざノックをしようとしていた右手が止まった。

あ"？誰を愛してるって〜？

『蘭………』

は？

キライって言ってたじゃねぇかよ、馬鹿A。

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