君に花言葉《灰谷蘭》 (ページ18)

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あれから数ヶ月、私は蘭の事を忘れる為に部活に励んだ。
毎日ボロボロになるまで追い込んで、泥のように眠って、たまの休みは息抜きで遊びに出たり。

その時に見かけた、見知った姿。
どうしようかと思ったけど、隣に居たのが金と黒ではなくて可愛い女の子だったから思い切って声をかけた。

『りーんどっ！』

バシッとその肩を叩けば一瞬睨むような顔をされたけど、私を視認すればジト目に変わった。

「何だ、Aかよ」

『何だとは、何だ！てゆか、その目！可愛い幼馴染みに対して！』

「はいはい、ウッセーって」

『ねぇねぇ、彼女？』

彼女だよねぇ！と竜胆の隣に立つ、可愛い女の子を覗き込む。
俯いて頬を赤く染めるその子は女の私でも守ってあげたくなる。
蘭はこの子の事が好きだったんだなーって思っていたら、竜胆に邪魔者扱いされてしまう。

『久しぶりに会ったのに！』

「つーか、お前、兄貴とどうなってんの？」

どうもこうも、あれから連絡も取ってない。
連絡先を消したって、覚えてしまった何度も見た番号は脳裏からは消えてくれない。

『あ、私用事思い出した、じゃあねー』

なんて、あからさま過ぎる。
竜胆のため息を聞きながらその場を離れたのは、向こうから歩いてくる人影が目についたからだ。

金と黒の揺れる三編み。
私は蘭を見つける天才だから。
また違う女の子連れて、その女の子の腰に腕を回して絡まって歩いててもすぐに見つけてしまうんだ。

先輩の腕は順調に回復。
ギブスも取れて、綺麗に折られてた事もあり完治も早かったらしい。
付き合って欲しい、そう言われたけど私の答えは決まってた。

私はやっぱり、キミが好きだよ、蘭。

嫌いって言ったけど、嫌いになんかなれないの。

『蘭……』

久しぶりに声に出して名前を呼んだ。

キミの名前を呼んだってバレないように、花屋の前で桃色の胡蝶蘭に向かって、キミの名前を呼ぶよ。

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