おとぎの国に堕とされて【短編集】

必然のワンシーン＊黒尾鉄朗【ちょこ大福様リク】そのいち ページ21

※色々ねつ造
※バレー少年黒尾くんはどこにもおりませんのでお気を付けください



「ねぇ、今日の放課後は私と遊んでくれるんでしょ？」

……誰だこの女
まぁいいや、丁度暇してたし

「放課後と言わず、今からなんてどーですか、オジョウサン？」

なんて返せば、女は頬を赤らめながらも俺にすり寄ってくる
チョロすぎだろ、世の中

退屈な日々にちょっとした刺激が欲しくて始めた狩りも、今ではいつも通りの日常となってしまった
それでも俺は狩りをやめられない
きっとそれは、これが俺の本能だから

いつも使っているホテルが満室だったので、女の案内で別のホテルに向かった


その道中、揺れる『赤色』が一瞬で俺の目を奪っていった


***


おばあちゃんのお見舞いのために来た久しぶりのココは、どこもかしこも
騒々しくて、空が狭くて、きらびやかで、なんだか泣きそうになる

東京に来る前に少しでも馴染みたくて髪の毛を赤く染めた
でも家族やおばあちゃんに反対されて、なにより自分でも勇気が出せず
結局赤くしたのは毛先だけ

やりきれない自分がダサいなぁと思って臙脂色のキャップを被っているけど、
それすら大都会東京ではダサい気がしてくる

そんな思いから人の目を避けるように裏通りを早足で歩いていると、
正面から腕を絡めたカップルが歩いてきた

なるべく邪魔にならないように端を歩く私と
キャピキャピ笑いながら歩くカップル

一生交わらない人種だな、とぼんやり考えていた


なのに、すれ違いざまにカップルの男性と目が合ってしまった

飲み込まれそうな真っ黒い瞳

何かが始まる、そんな気がして

怖くて

すれ違いきってから走り出した

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