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章大君が張り切って校内を案内してくれるけど、まわりの視線が気になって一向に頭に入ってこない。



章大君は想像していた通りの人気者で、充実した大学生活を送っているんだということは痛いくらいにはっきりとわかった。

私も大学の時はそれなりに遊んだり楽しい思いもしたはずだけど、遠い昔のことみたいにちっとも思い出せない。

行く先々で声を掛けられる章大君は、器用に一人ひとりにちゃんと返事を返しながら、私の手を引いて機嫌よく校内を進む。


それなのに私は、自分が周りからどう見えているかということとか、つないだままの手の汗が大丈夫かとかいうくだらないことばかりが気になっている。




「あと、どっか見たいところある?」

「…章大君がいつもいるところ」



彼がいつもどの席に座ってるか、とか大学でどんな風に過ごしてるのか、とか
あの付箋を書いたときはいろんな楽しいことを想像していたのに、今はもうちょっと苦しい。


想像は想像のままにしておいた方がいいこともある。

たぶん。




「ゼミの研究室なんやけど、空き時間はいっつもここで大倉とかマルと時間つぶしてんねん。…あ」



無邪気な顔の章大君の視線の先に、にぎやかな集団。
ふと、その中のかわいい女の子と目が合う。


オシャレでかわいくて小さくて、あの子だったら章大君の隣にいても自然でいられるんだろうな、と思う。

彼女は私に小さくお辞儀したあとで、申し訳なさそうに章大君に向かって手招きをした。



「呼ばれてる。行ってあげて」



章大君はちょっと困った顔をして躊躇したけれど、「ちょっとだけ座りたいし」と言ったら渋々頷いて、いつも休憩時間を過ごしているというゼミの研究室の中に私を入れてくれた。



「じゃあちょっと、ちょぉっとだけ、ここで待ってて!動かんでねすぐ戻るから」

「うん」



慌てた様子で章大君が走り去ってしまうと、まわりは途端に静かになって、私はほうっとため息をついた。


解放された手のひらが、汗ですうすうする。







私たちの間には越えられない壁がいくつもあって

章大君と私の世界が完全に一致する事なんてないのに

そんなことわかってたはずなのに




私はいつの間にか、浮かれて忘れていたみたいだ。






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みき(プロフ) - 待ってます! (2021年4月14日 10時) (レス) id: c6ee858f5f (このIDを非表示/違反報告)
cayochi(プロフ) - 私も待ちます (2021年4月14日 8時) (レス) id: 89ed3d2d70 (このIDを非表示/違反報告)
めろんぱん(プロフ) - いい子で待ってます (2021年4月14日 8時) (レス) id: b5cc118e0b (このIDを非表示/違反報告)
ブルームーン(プロフ) - イイ二人の世界だ〜(*´艸`*) (2021年4月14日 8時) (レス) id: d5063d2f63 (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 二度目の更新有難うございます!丸ちゃん、金木犀の香り…想像できます〜♪♪でも、連絡先交換とか名前で呼ばせるとか!?えっ!!丸ちゃんーー!!!って感じです!!笑 (2021年4月13日 19時) (レス) id: c6ee858f5f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:きりん虫 | 作成日時:2021年3月8日 9時

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