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私たちはまず駐車場に行って、猫を探した。
いつもボンネットで寝ていた猫は、最近見かけていないから探すのに苦労した。
しばらく車を使っていなかったから、私の車のボンネットは居心地のいい寝床ではなくなってしまったのかも。
すでに帰りたい。
土地勘がないらしいのに、「もしかしたらあっちにいるかも」とか言って謎の確信を持って進んでいく彼のあとについて行ったら、猫は本当に彼の示す場所にいた。
しばらく見ないうちに猫は連れ合いを見つけたらしい。
カップルの猫を写真におさめた後で車で海に向かった。
海はすぐそこだけれど、この時期はきっと寒いだろうと思う。
「ねえ、寒くない？」
助手席の彼は薄着だった。自分だけ暑いくらいに着込んできてしまって(無理やり着させられたんだけど)なんだか申し訳ない。
ト「ん？僕大丈夫。寒いのとかあんまり気にならんし、からだ丈夫やから」
あのひとと出かけるときはいつも私が助手席だった。
隣に人がいると私は前を見るのがおろそかになるから。
だから隣に人を乗せて運転するのは本当に久しぶりで、まして乗っているのがきれいな男の子だと思うと緊張してしまって変な手汗をかいた。
彼は私の気も知らずに、助手席の窓を全開にして海風を感じている。着込んでいるこの私が寒いのに、寒くないのか。
ト「あの家、一人で住むには広くない？」
「そうだね。古い上に事故物件らしくて格安だったの」
本当は家族向けの別荘だと思うから、一人では広い。
そんなことは住み始めた時からわかっていたことで、はじめは一人で住んでいたんだからそれを体感していたはずなのに、あのひとがいなくなったら何倍も広く感じる。
もとの一人暮らしに戻っただけなのに、なにかちょっとした、カメラとか、私は使ったことがない調味料とか、2人で兼用していた白いパーカーとか、あのひとのいた形跡を見かけただけで、急に全然別の場所に来てしまったような気持ちになる。
「使ってない部屋もいっぱいあるし、いっそ誰かとシェアすればいいかも」
ト「ええなぁ。僕借りたい。そんときは僕にも連絡してなぁ」
本気なのか建前なのか。
そもそも名前も連絡先も知りませんけど。
私のカメラを抱えながら助手席に座る彼の表情は見えない。
まあ、きれいすぎて直視できないのも運転中でよそ見できないのも私なんだけど。
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きりん虫(プロフ) - ブルームーンさん» ガムの背中は広くてあったかい☺️ (2022年2月25日 12時) (
レス) id: 3c36dba7b1 (このIDを非表示/違反報告)
ブルームーン(プロフ) - 究極の愛の場所はそこなんだなぁと(*´-`)おんぶ( *´艸｀) (2022年2月25日 5時) (レス) id: d5063d2f63 (このIDを非表示/違反報告)
きりん虫(プロフ) - ブルームーンさん» わーん！ブルームーンさん！ご無沙汰していました！ありがとうございます！！ (2021年2月27日 11時) (レス) id: 3c36dba7b1 (このIDを非表示/違反報告)
ブルームーン(プロフ) - わぁいいお話…も一回読む♪きりんむしさんの青さんに会いたいなぁと思ってたんです(*^^*)ｳﾚｼｲﾅ (2021年2月27日 7時) (レス) id: d5063d2f63 (このIDを非表示/違反報告)
きりん虫(プロフ) - めろんぱんさん» めろんぱんさん！こちらこそありがとうございます！！！！！！大好きです！！ (2020年10月31日 23時) (レス) id: 3c36dba7b1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きりん虫
| 作成日時：2020年10月31日 16時
