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あのひとは料理が得意だった。
私はそのへんは全然なので我が家のキッチンにはろくな鍋もなかったけど、あのひとが部屋に来てからはフライパンや食器、調味料までキッチンが潤沢になった。
他の料理はなんでも文句なしにおいしいのになぜかたまごやきの味だけはちゃんと決められなくて、あの日は「見た目ばっちりだから絶対おいしい自信作」記念に食べる前に写真を撮ったんだ、確か。
「私、料理はあんまり…」
ト「大丈夫、料理は愛情！僕も一緒に作るから」
急かされて作ったたまごやきは、きれいな男の子に見られながら作るという変な緊張感もあって少し焦げた。
それでも端っこをちょっと味見したら砂糖の加減ちょうど良くて奇跡的においしい。
ト「お皿はこれな。こっちの面は焦げてないから上にしよ」
彼はどこからか楕円形の大きい青いお皿を出してきて、そこに焦げ目を絶妙に隠した卵焼きを乗せた。
あら、意外といい、かも。
なにかを入れすぎたのかゆるゆるになったたまごやきは、夜の海にたゆんで溶けて浮かんでいるお月様みたいに見える。
ト「ほら、写真写真。おひさま入るからこっちから撮って」
撮った写真は皿もたまごやきの切り方も光の入り方もあのひとのとは全然違ったけど、それなりにおいしそう。
そういえばあの時あのひとが作った見た目ばっちりなたまごやきは、食べてみたらし甘すぎて二人で大笑いしたんだった。
写真を見比べてぼーっとしていたら、彼はどこからかタッパーを出してきてたまごやきをせっせとそこに詰めた。
ト「ぼーっとしてる暇はないで。次は猫と海」
「え、うそでしょ」
猫はともかく、海に行くの？この寒空に？
ト「ほら、時間ないから着替えて。寒くないように」
クローゼットを開けられて赤面したのもつかの間、ニット帽やらダウンやら靴下やら、子供みたいに着ぶくれさせられた。
ト「じゃあ、行くよ！」
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きりん虫(プロフ) - ブルームーンさん» ガムの背中は広くてあったかい☺️ (2022年2月25日 12時) (
レス) id: 3c36dba7b1 (このIDを非表示/違反報告)
ブルームーン(プロフ) - 究極の愛の場所はそこなんだなぁと(*´-`)おんぶ( *´艸｀) (2022年2月25日 5時) (レス) id: d5063d2f63 (このIDを非表示/違反報告)
きりん虫(プロフ) - ブルームーンさん» わーん！ブルームーンさん！ご無沙汰していました！ありがとうございます！！ (2021年2月27日 11時) (レス) id: 3c36dba7b1 (このIDを非表示/違反報告)
ブルームーン(プロフ) - わぁいいお話…も一回読む♪きりんむしさんの青さんに会いたいなぁと思ってたんです(*^^*)ｳﾚｼｲﾅ (2021年2月27日 7時) (レス) id: d5063d2f63 (このIDを非表示/違反報告)
きりん虫(プロフ) - めろんぱんさん» めろんぱんさん！こちらこそありがとうございます！！！！！！大好きです！！ (2020年10月31日 23時) (レス) id: 3c36dba7b1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きりん虫
| 作成日時：2020年10月31日 16時
