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目を開けた次の瞬間、私は式場の椅子に一人で座っていた。
ちょっと呆然としていると、ガヤガヤしながら庭から戻ってくる人達。
白昼夢、見た？
「デザート美味しかったですね」
黄色いドレスの子が言うので曖昧に微笑む。続けて席に着いた赤ドレスがが投げやりに言った。
「今だから言うけど、このテーブル、バランス悪いですよねぇ」
新婦の元カレ達は今の間に新郎新婦に挨拶をしているみたいだ。新婦がちょっと変な顔をしているのが見えた。
赤、黄、青のドレスの女子ズが席に着くと、残った席は2つ。
そこに、戻ってきた元カレ達が座って、席は埋まった。
マックとエースが座っていた席は、消えていた。
みんな初めからそうだったようにまた話始める。
やっぱり夢だったかな。
デザートを食べた記憶がない。
もったいなかったな。
青ドレスの子が、話しかけてきた。
「このレストラン、Aさんの紹介だって伺いました。私も今度、結婚しようと思ってて。会場の相談に乗ってもらえませんか？」
「もちろん」
にっこり笑って名刺入れを取り出すと、その、一番上に黒いショップカード。
“THE EIGHT”
思わず取り出して眺めると、青ドレスの子は初めて見るような顔で言った。
「それ、行きつけのお店とかですか？」
どうやら、私の記憶と、私の手にだけ残ったショップカード。
「今から行きつけになるかもしれないお店」
名刺入れから自分の名刺を取り出して彼女に渡したあと、私はそのショップカードを大切に名刺入れにしまい直す。
ふと、エースの残り香が鼻をかすめた。
Fin
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作者名：きりん虫
| 作成日時：2020年7月6日 21時
