6 ページ27
.
4日目、私の回復に合わせて元気になってきたマックと、リハビリがてら散歩に行く。
「みんなすごく忙しそうだね」
マ「“しーずん”やからな」
エースとアーセナルは音楽フェスで屋台、トッポとジョニーは別荘地でマダムのホームパーティーのケータリングが連日入っていて、ジャッキーとガムはエイトのキッチンで料理係。
エースとアーセナルの接客はかなり心配だし、トッポとジョニーはマダムにモテて仕事にならなそうだ。
そして両方の料理の下ごしらえをするジャッキーとガムのキッチンは鬼のような忙しさ。
そんな中、私とマックはお日様の下をのんきにお散歩。
「なんか、申し訳ない。トッポもまだ怒ってるし」
マ「あいつはふててるだけや、ゴネて留守番するって言い張ってたから。ええ加減人見知り直してもらわんと商売あがったりやから、ちょうど良かったわ」
それに、と私の顔を覗き込むように続ける。周りに誰もいない2人だけの距離感に緊張する。
そういえば私達は、今まで2人きりになったことがなかったな、と思い当たって、ますますドキ ドキしてきた。
マ「Aが来てくれるようになってからどんどん変わってきたし、いい方に」
「なつかれた、かも？」
マ「おん、自信もってええで」
自然に腰を引き寄せられて、さりげなくかばってくれる。3日間休めていた足は、思ったよりも鈍っていた。
促されて、自販機の横のベンチに座る。
マックはそのまま、自販機で紅茶を買ってくれた。私の分だけ。
「ずっと思ってたんだけど、聞いてもいい？」
プルタブを開けてくれながら頷くマック。さっきから身に余るお姫様待遇で、私はちょっとソワソワしている。
「血を吸って生きてるんだよね？普通に食べたり飲んだりしてるけど、栄養はどうなってるの？」
マックはきょとんとして、「なんや記者みたいな質問やな」と言って笑った。
1日中家にいてわかったことは、この人たちはいちいち人間のご飯を食べない。お酒はバカみたいに飲むし、タバコも吸うけど。
店に出す料理を味見、とか「なんか食わせて」とか言って変な時間に急にキッチンに現れたジョニーは目撃したけど、それ以外で食事に執着しているのを見たことがなかった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 107人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：きりん虫
| 作成日時：2020年7月6日 21時
