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マ「基本は血しか栄養にならんから、人間のご飯はまぁ娯楽やな。ちゃんと味わえるし人間だった時の嗜好も残ってるから」
マ「ただ、体内で毒に分解されて栄養にはならんし食っても食わなくても関係はない、腹も膨れんから満足感もないし。酒も残ってる間は酔えるけど、すぐ分解されるしな。かろうじて腹に残るのはレアな肉ぐらいやな、血が残ってれば」
「ていう事は、その、やっぱりみんな人の血だけで栄養を…？」
マ「街にでれば苦労せんでも女の子が釣れるからなぁ。適当に引っかけて血もらって記憶操作してる奴もおるし、正体バラして特定の相手から血分けてもらっとるのもおるで」
そりゃあ釣れるだろう。入れ食いだろう。咬まれた方も気持ちいいのなら、お互いに得しているのかも。
「マックも？」
恐る恐る聞くと、彼はちょっと顔を赤くした。色が白いからなのかマックはすぐ赤くなる。
マ「俺は最近はずっと代用品」
「代用品？」
マ「人工血液。研究してる奴に協力する代わりに分けてもらってる」
「ええと、おいしいの？」
マ「まだ研究段階やからなぁ、本物の味には程遠いわ。薬臭いし」
本物の血は美味しいんだ…。
「なんで我慢して美味しくないの飲んでるの？マックだって街に出れば、女の人いっぱい寄ってきそうなのに」
そう言ったらマックはますます赤くなってそっぽを向いた。
マ「人の血飲んでると匂いが濃くなんねん、吸血鬼の。敏感な人は本能的にそれから避けるようになってるから。…Aもやろ？」
吸血鬼たちに近づくと逃げたくなるあの感じ。あれはやっぱりそういう類のものなのか。
最近マックの近くにいても逃げたくならないのは、慣れたからだと思っていた。別の意味でドキ ドキするのは置いといて。
マ「それに、ほんまに咬みたいのは、一人だけやし」
多分私は、マック並みに赤くなったと思う。
なにその殺し文句。なにその拗ねた子供みたいな顔。
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作者名：きりん虫
| 作成日時：2020年7月6日 21時
