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「はじめまして。僕、そこの児童館で働いている者です。突然すんません」
児童館の人が何の用事だろう。
差し出された名刺は、端が汗でよれて波打っていた。
“児童館館長 丸山 隆平”
「絵本作家さんだとお伺いしたんですが、お間違えないですか？」
「ええ、まあ」
ほとんど出したことのない名刺入れから、自分の名刺を取り出して渡す。
彼はひどく恐縮しながら、それを受け取った。
よく見たら、店の外で子供たちが店を覗いている。
隆「あの、突然のお願いで大変恐縮なのですが、あの、その、児童館のお仕事に、興味はおありでないですか？」
どのへんがお願いで、どのへんが質問なんだろう。
何と答えればいいのか迷った末に、私は考えることを放棄した。
「間に合ってます」
侯「間に合ってます、てお前。かわいそうやったわ、あの人」
閉店の時間になって、よっこいしょ、と言いながら私の隣に座ったキミ君は、私の手の中にあった名刺を不躾に眺めた。
「だって、結局要件がなんだったのかわからないままだった」
侯「児童館に絵本を寄付してほしい、とかやないん？」
「児童館って、なにするところ？」
昔はそんなのなかったし、残念ながら私の周りには子供はいないので、完全に未知の領域。
侯「俺に聞く？」
もちろん独身のキミ君にも未知の領域。
「…そんなことより、誰にも話してない職業がバレていた。知らない人に」
侯「そんなことってなんやねん。せまい世の中なんやから早々に噂されてるに決まってるやろ」
そう言ってキミ君は、なぜかちょっと得意げにお店のお客さんがしていた噂を披露した。
“若い職人とその妻” “若い建築家と愛人” “未亡人と若いツバメ” “禁断の愛し合う姉弟”
いちいち忠義が若い設定なのも業腹だけど、そもそも私の職業には言及していない。
「ちゃんと否定してくれた？」
侯「話しかけられてもないのに客の話に口挟むわけないやろ、この俺が」
侯「A昔雑誌に載ったやん、写真付きで。あれ見られたんちゃう？」
そうか、そうかもしれない。
絵本作家なのは本当なので、愛人やら未亡人やら禁断愛やら、根も葉もないことを言われるよりはましだけれど。
人の口に戸は立てられない。
そのことはそれきり、私とキミ君の話題にはのぼらなかった。
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きりん虫(プロフ) - 茅香さん» 茅香さんはじめまして。人間味のある橙さんが私のツボです。コメントありがとうございます。 (2020年4月18日 5時) (
レス) id: 04ee5be231 (このIDを非表示/違反報告)
茅香(プロフ) - はじめまして。自分は黒担なのですが、きりん虫さんが描かれる狡いオレンジさんがとても好きです。 (2020年4月18日 1時) (レス) id: 79a5f5eb6c (このIDを非表示/違反報告)
きりん虫(プロフ) - ブルームーンさん» ブルームーンさん明けましておめでとうございます！どうも青さんは天からの使者になりがちですね。尊い´д` ;。今年もよろしくお願いします！ (2020年1月4日 8時) (レス) id: 3c36dba7b1 (このIDを非表示/違反報告)
きりん虫(プロフ) - ニァさん» ニァさんはじめまして。コメントありがとうございます！自然と再生が裏テーマだったので季節描写が多かったのですが、楽しんで頂けたならよかったです。また更新中の作品に戻りますので遊びに来て下さいね！よろしくお願いします^ ^ (2020年1月4日 8時) (レス) id: 3c36dba7b1 (このIDを非表示/違反報告)
ブルームーン(プロフ) - 暖かい緑さんに包まれたくなります！そしてキツツキさん、彼は鳥さんになりがちですね♪幸せの青い鳥さんでしょうか(*´ω｀*)ﾎﾜﾎﾜ (2020年1月4日 0時) (レス) id: 9f4337f44a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きりん虫
| 作成日時：2019年12月21日 17時
