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「じゃあ…まあそのぉ…がんばれ…?」
「せめてそこは自信ありげにお別れしてよ」


 ミチコちゃんとの会もお開きである。結局、散々話し合った結果、『そもそも頼んでやってもらうことじゃない』『そもそも嫌なら頼むな』『そもそも恥ずかしいならまだするな』ということに落ち着いた。さすがミチコちゃん、Aが言語化出来なかったところをきっちりと詰め、Aを納得させる頭は大卒の成すところであった。

 ミチコちゃんにあやしてもらい大人しくなったAは、「もう間違えないぞ!」と謎の意気込みで自室に戻ろうとした。───が、


「お、よォ」
「!? あ、よ、よぉ?」
「ンだそれ」


 渦中の中原中也の登場である。いやいや、確かにもう吹っ切れたと思ったけど。もう大丈夫だと思ったけど。昨日の今日でこんなすぐに対面することになるなんて、まだ心の準備ができてないって言うか、そもそも自分から大拒絶しておいて合わせる顔がないって言うか。
 Aはいつも通りの可愛いスマイルも忘れて、廊下のど真ん中にいる中原とどう対峙するかを考え始めた。自分の部屋はすぐそこ、けどその前に中原さんがいる、ならもう、いっそ、殺すしかないのか────?


「まだ何か気にしてンのかよ」
「どっ!? はい!? なんですって、」
「別にあんなことで一々気まずくなるこたねェだろ、いつも通りにしろ」
「あ゙っ」


 ため息をついた中原がAの頭にぽんと手を置く。セットした髪への思いやりなんてひとつも持ち合わせないかのようにグシャグシャと掻き回し、目が合って動揺の色が消えたAにフンといたずらっ子のように笑った。

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落蕾 - 沢山更新されていて、歓喜しました!一話一話に文字数も多いので、読みごたえがあって、やっぱり大好きです!これからも応援してます! (4月5日 0時) (レス) @page28 id: 32354343cf (このIDを非表示/違反報告)
アボカドサラダ(プロフ) - 落蕾さん» いつもコメントありがとうございます。今回はまだ明るいお時間にお読みくださったようで、安心しましたᵔ-ᵔ 今後ともよろしくお願いいたします。 (12月20日 18時) (レス) id: cf05fdb6e7 (このIDを非表示/違反報告)
落蕾 - 更新して頂き、ありがとうございます!!おかげさまで、喉が潰れるまで叫びました!!とても面白かったです!これからも応援しています! (12月19日 15時) (レス) @page19 id: 32354343cf (このIDを非表示/違反報告)
アボカドサラダ(プロフ) - りんねさん» コメントありがとうございます。いちばん好きだなんて、とても勿体ないお言葉です( ; ; ) これからも応援していただけると嬉しいです。 (12月16日 20時) (レス) id: cf05fdb6e7 (このIDを非表示/違反報告)
りんね(プロフ) - いちばん好きです!!!応援してます!!! (12月16日 19時) (レス) @page17 id: daaae51289 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:アボカドサラダ | 作成日時:2022年10月10日 14時

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