DAY 4 ページ6
捕虜くんの部屋をノックすると…
「……めでたしめでたし…」
陽太郎が捕虜くんに本を読み聞かせていた。
「昨日も今朝も食欲が無いって言って何も食べなかったでしょ?林檎剥いたけど、食べる?」
そう、レイジさんが心配していたのだ。
熱は徐々に下がってるけど食欲が戻らないから栄養が取れてないのでは…と。
「りんごか…」
「おれのぶんもあるか??」
「あるよ。冷たくて美味しいよ。」
ベッドの脇の机にお皿を置いて、私はベッドに腰掛けた。
捕虜くんは身体を起こし、林檎を一欠片掴んで食べた。
「………………」
…………え!?た、食べた!?
捕虜くんはお腹がすいてたみたいでシャリシャリと美味しそうに頬張っている。
「ヒュース、うまいか?」
「美味い。」
「良かったぁ…やっと食べてくれたぁ…」
泣きそうなほど嬉しい←
「レイジが心配していたんだぞ」
「あー、良かったぁ…」
ほっとして私は笑みを零した。
「……………捕虜の俺をそんなに心配していたのか?」
「だ、だって…」
そりゃ心配するでしょ!
「つい3日ほど前まで俺はお前達の敵だったんだぞ?お前達の仲間を連れ去ろうとしていたんだぞ?」
……そう言われると改めて気付く。
私達は彼らと戦ってたんだ。
「で、でも、私はヒュースくんが国に帰るときにここで過ごした思い出も悪くなかったって思って欲しい!それでいつか…いつか…近界民も人間も…みんな仲良く暮らせるような…世界に…」
「お、おい…分かったから落ち着け…」
おっと、つい感情的になっちゃった。
しばらく気まずい沈黙が流れた後
「…………今度俺の国の話を少ししてやる」
「………え?」
突然捕虜くんがそう言った。
「………少しだけだぞ」
「………分かった。少しだけね。」
「それから…」
「?」
「さっき…お前…初めて俺を"ヒュース"と呼んだな…」
え?そうだっけ?
初めての会話での一件以来1発食らわされたのが悔しくて意地でも名前で呼ばないようにしてたのに
「……………もしかして嬉しいの?」
「なっ!!…別にっ…違う!!」
慌てて弁解する捕虜くんは顔が真っ赤だ。
「…………クスクス」
「な、何がおかしい!?」
あー、やっぱ面白い
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姫蘭華(プロフ) - yukinemさん» ありがとうございます!!グダる予感もしますが一生懸命頑張ります!!(笑)完結までどうぞよろしくお願いしますm(_ _)m (2019年6月26日 5時) (レス) id: cb87232c53 (このIDを非表示/違反報告)
yukinem(プロフ) - 素敵すぎて一気に読んでしまいました。ヒュースも主人公ちゃんも会話のテンポやセンスが良すぎて読んでいて切なくも幸せな気持ちになります。続きを楽しみにしております! (2019年6月26日 3時) (レス) id: 3c2cde60df (このIDを非表示/違反報告)
姫蘭華(プロフ) - やっとユーザー名を姫蘭華に変えました^^;ペンネーム変えたのに今までずっと☆黒猫☆のままだったので…改めまして宜しくお願いしますm(_ _)m (2019年6月8日 5時) (レス) id: cb87232c53 (このIDを非表示/違反報告)
姫蘭華(プロフ) - twiceモモペン☆さん» ありがとうございます!そう言って頂けることが何よりも嬉しいです。これからも頑張りますので宜しくお願いしますm(_ _)m (2019年6月8日 5時) (レス) id: cb87232c53 (このIDを非表示/違反報告)
twiceモモペン☆ - 最高です!私はヒュース推し何ですけど、なかなか小説がないのでとても面白いですっ!これからも頑張ってください!完結を楽しみにしてます! (2019年6月7日 23時) (レス) id: cfa0ae033f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:姫蘭華 | 作成日時:2019年6月2日 11時