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―
『・・・我儘でごめんなさい、』
「っ、・・・!」
気づけばユネと自分を包むように光が溢れる。
温かく眠くなってしまうほど、気持ちの良い光。
だが、光が強くなればなるほど、心の中にある“何かが消えていくような”
「!何してる、・・・・やめろ!ユネ!!!」
何処までも温かい光。
だがオウニは胸の中に侵食していく光を感じ、拒むように暴れる。
重たくなる瞼に、力が入らなくなる身体。
暴れてもそれは少し身動きをした程度で、ユネから離れることはできない。
「ユネっ・・・やめ・・・ろ」
『こんな私を好きにってくれてありがとう、』
「・・・・っ」
『約束を守れなくて、ごめんなさい・・・』
『自由な貴方が好き、だから私にもう囚われないで』
「やめろ・・・・!!!!」
『・・・オウニ、もう一度全てやり直しましょう』
その言葉を最後にオウニは意識を手放した。
訪れる静寂に、腕の中で眠る愛しい存在。
ユネはそっと彼の顔にかかる、彼の髪を指で払う。
あどけないその寝顔に、微笑みを浮かべた。
『・・・・・愛してるわ、ずっと・・・』
唇にそっと自身の唇を落とす。
その唇を離すと、オウニを抱き締めたままユネもその瞼を下ろした。
―
「オウニ・・、おい!オウニ」
誰がが自分を呼ぶ声がする。
僅かに瞼を刺激する光。
あぁ、朝が来たのか。
オウニは僅かに重たい瞼をあげ、起き上がる。
「・・・・、なんだ」
寝起きだからか不機嫌そうに声がする方へと向けば、
朝食を持ったマソオの姿があった。
「飯だよ、飯・・・ったく、よくこんな所で熟睡できるな」
「慣れてるからな・・・」
「・・・そーかよ」
慣れるなよと、呆れた声と共に置かれる朝食。
それを一度は視界に入れるが、オウニは手をつけない。
「そうだろうとは思ったけどよ・・・少しは食えよ、
お前“体内にいる時は何も口にしないだろ、倒れるぞ」
「・・・アンタが気にすることじゃないだろ」
「お前なぁ・・・、ユネ様が心配するだろ」
「―」
何気ないマソオの言葉が胸に引っかかるような感覚に、
オウニは胸を抑えた。
「どうした?やっぱ気分でも悪いんじゃ ―」
「― おい」
「あ?」
「“ユネ”って誰だ」
朝の静けさの中零れた聞き覚えのない名に、オウニは不快そうに顔を歪めた。
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霧花(プロフ) - 美海-miuna-さん» 美海-miuna-様。再びコメント本当に嬉しいです!最近は更新できず、楽しみにして頂いてるのに、すみません(TT)ゆっくりでもちゃんと最後まで書こうと思ってるので、長い目で見守ってください!(^^)ここから物語がある意味始まるので、頑張ります! (2018年2月23日 17時) (レス) id: 7d4352a5a2 (このIDを非表示/違反報告)
美海-miuna- - 霧花さん» 再びコメント失礼します!更新楽しみにしてました!読んだ今、オウニがあぁぁああ!!という状態です笑読みながら涙してしまい、ますます今後の展開が気になります!! (2018年2月17日 13時) (レス) id: f365a2d487 (このIDを非表示/違反報告)
霧花(プロフ) - 美海-miuna-さん» 語り出したら止まらないです(笑)こうして、クジ砂という素晴らしい作品を通して、色々な方々と交流できて、本当に幸せです(*^^*)更新には波がありますが、今後も頑張ります! (2018年2月7日 0時) (レス) id: 7d4352a5a2 (このIDを非表示/違反報告)
霧花(プロフ) - 美海-miuna-さん» 美海-miuna-様。コメントありがとうございます!凄く嬉しいです(^^)やっと2人を会わせられました!長かったな、と私もしみじみ感じました(笑)美海-miuna-様は舞台クジ砂も好きなんですね!私も大好きです(*^^*)舞台、アニメ、漫画、全てのオウニが素敵過ぎて! (2018年2月7日 0時) (レス) id: 7d4352a5a2 (このIDを非表示/違反報告)
美海-miuna- - やっとオウニと主人公が関わるところが読めて嬉しいです!霧花さんの書くオウニもとってもかっこよくて、惚れてまうやろー!!って状態です(笑)この先どうなるのか楽しみにしています! (2018年2月6日 19時) (レス) id: f365a2d487 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:霧花 | 作成日時:2018年1月19日 17時