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意志の炎 ページ50

「何故じゃセベク、我らは誇り高きヴィランズ。愛しい姫君を手に入れるためには如何なる手段をも問わない我らの矜持を忘れたとでも言うのか?」


途端に溢れ出す血の匂い、遠い昔に彼が戦場で被ったおぞましいほどの血の匂いが部屋に充満する。尊敬する師匠の視線は鋭く冷たい。しかし白緑の彼は言葉を紡ぐことを辞めることはなかった。貴方様に説かれた教えを忘れるわけがありません、しかし彼女だけは、彼女の心だけはどうしても自分の力で手に入れたい。彼女の心を手に入れるためにあの炎を消したくない、小さくも暖かい灯火を身に宿した彼女を自分は愛してしまったのだ。


アンティークゴールドの瞳が自分を見据えた時、匂いは消え去った。鋭く冷たい視線も春の日差しのような暖かさを見せている。


「それはヴィランズとしての道からは外れておるが、1人の男としてどんな答えよりも正しいぞ。よく言ったセベク、花まるじゃ!」


紅赤の瞳が細まる、あんなに小さかった弟子が今や立派な愛する人を見つけた1人の男の顔つきになったのだ、嬉しくないわけがないだろう。今日はその祝いとして自分の腕を振るおうと意気込む彼に対し茨の谷並びにディアソムニア生総動員で止めたのは記憶に新しい。


白緑色を持つ茨の信奉者は守るべき者と心から愛する人を見つけた。愛する人のために強くなれるという言葉がもし本当ならば、彼はきっと誰よりも強くなる。彼の体に流れる妖精の血は愛する者の為ならば世界を滅ぼす力をも得ると言われるほど愛情深い。


もう半分を流れる人間に血は愛する者の為に世界に革命を起こせるほどの力を生まれつき持っている。愛には恐れがない。完全な愛は恐れをとり除くと言った言葉があるようにどの世界でも誰かを愛することは大きな力を得ることと同義であった。


そんな彼が愛した灯火の乙女は誰かを守りたいと、自分の命の炎など顧みることなく笑って捨てる人であった。その意識の根底にはいつも尊敬してやまない師の存在がある。


白緑色のヴィランズはそんな炎を支えたかった元剣士を、愛している。その思いが言の葉として実るにはもう少しの時間がかかるが昔から互いを愛する人の話はハッピーエンドであることは遥か昔からそう決まっている。

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鈴懸(プロフ) - 星猫さん» すみません、私は友達であろうと他人であろうと合作する気は全くもってありません。 (2021年10月2日 19時) (レス) id: b78c3dc165 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - 知ってるアニメは何ですか?怪談レストランは知ってます?後、一緒に合作しませんか? (2021年10月2日 11時) (レス) id: f84c743866 (このIDを非表示/違反報告)
鈴懸(プロフ) - 星猫さん» 返信遅れました、コメントありがとうございます (2021年9月23日 21時) (レス) id: b78c3dc165 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - 初めまして!とっても素敵ですね!高評価しました! (2021年9月19日 21時) (レス) id: f84c743866 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:鈴懸 x他1人 | 作成日時:2021年8月8日 2時

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