揺らめく炎 ページ13
やっとこさの思いでオンボロ寮に到着した彼らはそのボロさにかなりの憤りを感じながらも取り敢えず中に踏み入って1番まともな寝具に彼女を寝かせた。
「ホタルぅ、う、ふなぁぁぁぁ...!!」
「大丈夫だよグリ、運んでくれたエースには悪いけどこれくらいなら怪我のうちに入るか入らないかくらいなんだ。もっと酷い怪我は骨が何箇所も折れたり四肢のどこかが千切れかけたりすることだからな!」
彼女としてはもう隠す気もないくらい大粒の涙を流しているグリムを安心させたくて言ったのだがこれが予想通り全くもっての逆効果、押し殺していた声をあげワンワンと大声を上げて泣き始める。ちなみにエース並びにデュースは手当するための道具を探しに向かったので今現在この場にはいない。
「大丈夫だから、大丈夫だから。あたしは見ての通り五体満足健康だからな、グリ?」
「大丈夫じゃねーからオレ様は言ってんだゾ!!!!」
「騒々しいな。」
「ふなっ?!」
彼を何とかしてなだめようとなれない手付きで必死に頭を撫でる彼女の背後に突然鬼殺隊最強との呼び声高かった岩柱を思わせる大男が現れた。
「何者だ」
流れるような動作で猫を背中に庇いながら刀の切っ先と鋭い瞳を己に向ける彼女に一瞬拍子抜けしたような表情になったもののすぐに大きな声で笑い出した。状況が理解できず戸惑っている彼女の耳に届くのは息も絶え絶えになりながら笑う声とこの僕に、恐れ知らず、などと言った普通の身分の者ならほぼ使うことのない言葉ばかり。
見たことのないくらい明るく澄んだ緑の光をさも愉快というように手で弄りながら彼女の背中の傷に気がついた大男は本に出てくるような軽やかで美しい言葉を並べその場から元々いなかったと誰に言っても信じるくらい自然にいなくなったが彼女だけは彼が自分のことを炎の子、と呼んだことだけはよく覚えている。
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鈴懸(プロフ) - 星猫さん» すみません、私は友達であろうと他人であろうと合作する気は全くもってありません。 (2021年10月2日 19時) (レス) id: b78c3dc165 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - 知ってるアニメは何ですか?怪談レストランは知ってます?後、一緒に合作しませんか? (2021年10月2日 11時) (レス) id: f84c743866 (このIDを非表示/違反報告)
鈴懸(プロフ) - 星猫さん» 返信遅れました、コメントありがとうございます (2021年9月23日 21時) (レス) id: b78c3dc165 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - 初めまして!とっても素敵ですね!高評価しました! (2021年9月19日 21時) (レス) id: f84c743866 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鈴懸 x他1人 | 作成日時:2021年8月8日 2時