5.唯一で大切で ページ7
「Aが女装したら……んん〜?あっ……ダメだ俺、男の女の子の格好見たくない……」
「そろそろ怒るよ?」
「あはは、ごめんって」
『冗談冗談』と手をひらひらとさせる薫。
その後しばらく学校のことや薫の活動についてなど、色んなことを話しながらパンケーキを食べ進めていると薫から思わぬ話が。
「……さっきの話ちょっと戻るんだけどさ。
……俺がAといるのは落ち着くからだよ。ゆる〜く幼なじみ、友達として接してくれる。そこが好きなんだよね〜……あと、Aの雰囲気も好き」
「……急にどうしたの」
「そんな目で見ないでよ……なんだろ、言いたくなっちゃった。日頃の感謝、的な?ありがとね、A。
やっぱりAは昔から唯一の存在だよ。……そう思ってるから、Aとは一緒にいるんだよ俺」
急にされたこの話に俺は満たされ、勝手に傷を作る。
『唯一の存在』と言われれば嬉しくなる。
あの薫の中に俺が存在している事が分かっただけでも幸せだ。
……でもやっぱり『友達』なんだよな、と改めて思い知らされた。
勝手に持っている、この関係にお荷物な感情。
こんなに大きくなる前にお別れをすべきだったかな。
今更、出来ないわけだが。
「お?なになに、涙目なっちゃって。感動した?」
「……結構きた」
幸せと痛みが入り交じったものが瞳に浮かんで零れそうになる。
零したら、ダメだ。
零してしまったらどちらの感情も吐き出してしまいそう。
「あはは、本当?ね、Aにとっての俺は?」
「え」
「『え』じゃなくて。ここは言う雰囲気でしょ?」
「ええ……」
なんだその雰囲気。
……俺にとっての『薫』か。
愛しい存在なのはもちろんだけれど、言えるはずもない。
だとしたら……
「……大切な存在、かな」
「『大切』……か。……嬉しいね、やっぱり」
伝えれば、はは、と軽く頬を掻きながら照れくさそうに笑った。
……多分、いや絶対に真意は伝わってないだろうけど、薫が喜んでいるならいいか。
お互いが『唯一』で『大切』な存在。
それぞれが含む意味は違っているだろうけど、とっても幸せなことなんじゃないだろうか。
____そう、思いたかった。
想いを伝えないこの現状か一番だと、思いたかった。
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桐明(プロフ) - にむらさん» 他の作品もなんて、本当にありがとうございます!読んでくださる方には感謝ばかりです……。そうですね……! (2017年3月27日 11時) (レス) id: 1ca861306a (このIDを非表示/違反報告)
にむら(プロフ) - 桐明さん» いーえ。他の作品も追いかけさせていただいてます、瀬名のやつは何回読んでも飽きなくて好きです…。男主っていいですよね! (2017年3月26日 23時) (携帯から) (レス) id: 0ba05dac54 (このIDを非表示/違反報告)
桐明(プロフ) - にむらさん» ありがとうございます……!;;可愛いと言ってもらえてとっても嬉しいです。更新頑張ります!! (2017年3月26日 23時) (レス) id: 1ca861306a (このIDを非表示/違反報告)
にむら(プロフ) - 2人とも可愛いです…応援してます、更新楽しみにお待ちしてます^^ (2017年3月26日 22時) (携帯から) (レス) id: 0ba05dac54 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桐明 | 作成日時:2017年3月26日 21時