20.同じ気持ち ページ22
「う……ごめ、ごめん、なさ…」
「どうして謝るの。Aなにか悪いことした？」
今まで零すまいとしてきた涙があふれて止まらない。
一緒に言葉も出てしまいそうだから我慢してたのに。
拭っても拭ってもこぼれ落ちていく。
「ずっと、幼なじみで、友達で居ることが一番良いって、思ってたのに俺…こんな感情持っちゃって」
言葉を、感情を薫にぶつけてしまう。
ごめんね、迷惑だよね。
でも、吐き出させて。
そしたら、もう関わらないから。
「薫は女の子が好きだから、俺にこんなの向けられて」
「気持ち悪いとか、思わないから」
「……え？」
自分の耳を、疑った。
「嬉しいよ。同じ気持ちだもん」
「おなじ……？」
同じ、気持ち。
つまり、それって、
体が一気に熱を持っていく。
全部全部が熱くて、理解が追いつかない。
「俺、Aのこと好きだよ。
……こんな俺と一緒にいてくれるところとか、言葉も、声も、あったかい笑顔も大好き。勘違いでもなくて、俺なりに考えたら…Aのこと好きなんだなって。
俺と、付き合ってください」
「……っ！」
「……どうかな？」
俺の次の言葉を待つように不安げに見つめられる。
そんなカオ、普段しないくせに。
「す、き？」
「うん」
「俺のこと？」
「うん」
……これは、夢じゃない？
その表情と言葉が夢だったとしたら、俺は。
でも、この温かさは夢じゃない。確かな温もりがそこにある。
これを、信じてもいいんだよね？
「……よろしく、お願いします…？」
「疑問形？」
「…よろしくお願いします…っ」
小さく笑ってそう言った瞬間、薫の全体重が俺にのしかかって『うぐ』と潰れたような声が出る。
俺の肩に顔を埋める薫の頭を撫でてやれば、耳元で笑い声が聞こえた。
「あ〜好き、多分ね、匂いとかも好き。全部好きだよ、A」
「……薫からそんな言葉を聞けるなんて」
「ふふ、俺もこんなに気持ち溢れるのは初めてかなぁ。愛しいってこんな感じなんだね」
「い、愛し……って」
「ほんとのこと」
さらりと言う薫にこっちが恥ずかしくなってくる。
でも、嬉しい恥ずかしさ。
壊れてしまった器が元に戻って、大きくなっていく。
ここにどんな滴が溜まっていくのか。
この先を考えるだけでパンケーキのように甘いもので満たされていくような。
それこそ、メープルシロップたっぷりのアイス乗せみたいな甘さが、空いた穴に浸透して埋めていくように、幸せが広がっていった。
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桐明(プロフ) - にむらさん» 他の作品もなんて、本当にありがとうございます！読んでくださる方には感謝ばかりです……。そうですね……！ (2017年3月27日 11時) (
レス) id: 1ca861306a (このIDを非表示/違反報告)
にむら(プロフ) - 桐明さん» いーえ。他の作品も追いかけさせていただいてます、瀬名のやつは何回読んでも飽きなくて好きです…。男主っていいですよね！ (2017年3月26日 23時) (携帯から) (レス) id: 0ba05dac54 (このIDを非表示/違反報告)
桐明(プロフ) - にむらさん» ありがとうございます……！;;可愛いと言ってもらえてとっても嬉しいです。更新頑張ります！！ (2017年3月26日 23時) (レス) id: 1ca861306a (このIDを非表示/違反報告)
にむら(プロフ) - ２人とも可愛いです…応援してます、更新楽しみにお待ちしてます^^ (2017年3月26日 22時) (携帯から) (レス) id: 0ba05dac54 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桐明 | 作成日時：2017年3月26日 21時
