汝、バカであれ（岸辺） ページ8
一日の仕事を終えて本部から出ると、背後から明るい声に呼び止められた。
振り返ると、ぶんぶんと大きく手を振りながらAが駆け寄ってくる。
｢岸辺さーん！このあと暇ですか？
かわいい女子高生とデートしませんか！
焼肉食べに行きましょう！｣
｢いかねえ。帰れクソガキ｣
｢え〜…、ケチケチ。たまには付き合ってくださいよ｣
｢お前、どうして俺にばっか構うんだ。
お前くらいの年齢ならヒロフミやアキにちょっかいかけた方が楽しいだろ｣
｢たしかに2人ともかっこいいですけど、岸辺さんの方が強いじゃないですか。
だからつまり、岸辺さんの方がかっこいい！｣
よっ、イケオジ！とわけのわからない野次を飛ばしてきたAを無視して歩き出す。
すると慌ててAもあとを着いてくる。
デンジなんかは結構なバカだが、こいつも負けず劣らずのバカだ。それに加えて、言動がかなり幼稚。
そして、強さが全てだと思い込んでいるところや、1度信じた相手のことは少しも疑おうとしないところがなんともガキくさい。
幼少期からのクセだという頭の足りなそうな話し方が、さらにそれを引き立てている。
こんな風に思われているとは露知らず、Aは得意げに話を始める。
｢私、本気ですよ！
稽古をつけてもらったあの日から、岸辺さんにゾッコンです！｣
｢わからねえな。
お前、稽古初日は俺に半殺しにされただろうが｣
｢はい！あの日の全身骨折も愛の鞭だと解釈してます！｣
｢そうか。筋金入りのバカだな｣
撒いてしまおうと歩みを早めるが、Aは負けじとついてくる。
民間のくせになかなか動けやがるのが鬱陶しい。
｢私、強い人って大好きです！
だから最強の岸辺さんが大好きです！
えーっと、あとマキマさんも大好き！強いから！｣
足を止めて、振り返る。
｢マキマ、好きか｣
｢好きです！あっ、もちろん岸辺さんも好きですよ！｣
｢なら、もしマキマと俺が殺し合いレベルの喧嘩をしていたら、どっちの味方をする｣
｢え？えっと………｣
Aはしばらく考えたあとで、申し訳なさそうな顔をして、
｢つよい、ほう｣
と言い切った。
｢…それでいい。気に入った。大好きだ｣
｢え！？えっ！？今大好きっていいましたか！？｣
返事はしない。
大好きとは言ったが、これはお前が期待してるような“大好き”じゃない。
｢お前、早死にするなよ。
バカのまま生きて、俺より歳とって死ね｣
｢はい！岸辺さんも！｣
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ちえ - アキくんの夢もまだ少ないのでこれから楽しみに待ってます (2022年10月15日 23時) (
レス) id: 0560ab194e (このIDを非表示/違反報告)
ゆり - チェンソの夢はまだまだ少ないので嬉しいです！とても面白かったです！キャラクターの思考や話し方なんかがとても自然で楽しく違和感無く読めました。次回を楽しみにしています。差し支えなければ、マキマの夢が読みたいです。女夢主であればどんな話でも嬉しいです。 (2021年7月8日 0時) (レス) id: 979541037a (このIDを非表示/違反報告)
肩サラダ(プロフ) - チェンソーマン大好きなのでこういう短編集がすごく嬉しいです、、！最高です！！リクエストをお願いしたいのですが、ビームくんで女主のお話を書いて欲しいです！お時間ある時で構いませんのでよろしくお願いします！ (2021年2月11日 20時) (レス) id: dfa81ef2dc (このIDを非表示/違反報告)
切れ端(プロフ) - ドコサヘキサエン酸さん» コメントありがとうございます！もっと良いものが書けるように頑張りたいです；；本当そう思います！アニメ化がきっかけになって、もっと増えたらいいな…… (2021年1月10日 0時) (レス) id: f24ed74d9a (このIDを非表示/違反報告)
切れ端(プロフ) - あるみくさん» コメントありがとうございます！嬉しいです…！更新頑張ります！ (2021年1月10日 0時) (レス) id: f24ed74d9a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：切れ端 | 作成日時：2020年4月20日 11時
