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今際の約束(デンジ) ページ2

「ダメダメ、そんなことさせられないよ。
しかもデンジくん、すぐ生き返っちゃうじゃん」

「あー…じゃあ、結局ひとりにさせちまうな」

「そうだね、でも仕方ないよ。
誰だって死ぬときはひとりぼっちだもん」

そう言うと、Aは咳き込むように大きな血の塊を吐き出した。
形の良い唇が、鮮血で汚れる。

「やだ、私、ほんとにもうすぐ死んじゃうみたい」

そう呟いたAの目は虚ろで、限界が近いのだということはなんとなく察することができた。

俺のとは違う本物の死が、すぐそこまで迫ってきているようだった。

「私ね、まだ天国には行きたくないの。
死んだあとは幽霊になって、生きてた頃に行けなかった場所に遊びに行きたいな」

「へえ、いいなソレ」

「でしょでしょ、でも全部一人旅になっちゃうから、そこだけ残念だけどね。楽しみにしてるんだ」

強がりだ。
自分が死にゆく恐怖をごまかそうと、強がりを言っている。
人の感情に疎い俺でも、それだけはなんとなく分かったような気がした。

「ねえ、デンジくんは死んだあとはどこに行きたい?
やっぱり、普通に天国?」

「俺?俺は〜……」

母親のところ?父親のところ?
姫野先輩のところ?天国?地獄?
つーか、死んでいった奴らってどこにいるんだ?

うんうん唸って、しばらく頭を悩ませたあと、俺はAを見て、

「…ん〜、俺ぁ、Aがいるところに行こっかな。
そしたらA、ひとりぼっちじゃなくなるだろ」



驚いたような顔をしてAが目を見開く。
瞬間、ボロボロと涙がこぼれ落ちた。


「………ほんとに?」

「おー、約束してもいいぜ」

「……やったぁ、私、待ってるからね」


俺の手をそっと頬に当てて、Aは優しく微笑んだ。

チョコレートと厄介者 (パワー)→←今際の約束(デンジ)



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設定タグ:チェンソーマン , 短編集 , ジャンプ   
作品ジャンル:その他
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ちえ - アキくんの夢もまだ少ないのでこれから楽しみに待ってます (2022年10月15日 23時) (レス) id: 0560ab194e (このIDを非表示/違反報告)
ゆり - チェンソの夢はまだまだ少ないので嬉しいです!とても面白かったです!キャラクターの思考や話し方なんかがとても自然で楽しく違和感無く読めました。次回を楽しみにしています。差し支えなければ、マキマの夢が読みたいです。女夢主であればどんな話でも嬉しいです。 (2021年7月8日 0時) (レス) id: 979541037a (このIDを非表示/違反報告)
肩サラダ(プロフ) - チェンソーマン大好きなのでこういう短編集がすごく嬉しいです、、!最高です!!リクエストをお願いしたいのですが、ビームくんで女主のお話を書いて欲しいです!お時間ある時で構いませんのでよろしくお願いします! (2021年2月11日 20時) (レス) id: dfa81ef2dc (このIDを非表示/違反報告)
切れ端(プロフ) - ドコサヘキサエン酸さん» コメントありがとうございます!もっと良いものが書けるように頑張りたいです;;本当そう思います!アニメ化がきっかけになって、もっと増えたらいいな…… (2021年1月10日 0時) (レス) id: f24ed74d9a (このIDを非表示/違反報告)
切れ端(プロフ) - あるみくさん» コメントありがとうございます!嬉しいです…!更新頑張ります! (2021年1月10日 0時) (レス) id: f24ed74d9a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:切れ端 | 作成日時:2020年4月20日 11時

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