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そこにはいつもの私の部屋と、ひらりとなびくカーテンがあるだけだった。
彼の姿は見当たらない。
カーテンを払い除け窓を覗けば、それは案の定開いていて。ひと一人通れるスペースの空いたその窓から身を乗り出して、抜け出したと思われる彼を見つけようと首をまわした。
……見つけた。あの崖の方だ。
海を眺める彼の姿を目視すればすぐに、私は学校の鞄を持ち帽子を被り、いかにも今から学校へと向かいますといった格好をして慌てて階段を駆け下り外へと飛び出す。
「いってらっしゃ〜い！」
明るく声をかけてくれた母に、無言で手を振った。
─
「ブルンゲル！ゼクロムは？」
「はやくはやく！色んな人に見つかったら困るから…！！」
すっかり静まり返った海を覗き込み、大声で何かを指示する彼。
『すみませーん！！！』
そう大声で話しかけると、彼はすぐにこちらを振り向き瞳孔を開く。
「わっ…！！」
そんな大げさな。彼は一歩後ずさると、あー、と苦笑いして気まずそうに目を上方に逸らす。彼の隣にいるふわふわしたポケモンは、私の姿を見ると嬉しそうに笑って飛び跳ねた。
『怪我は…大丈夫……なんですか…？』
話しにくいその雰囲気にのまれ、いつもならすらすらと出てくる言葉が詰まってしまった。さっきの大声はなんだったのか。
「大丈夫だよ。ごめんね迷惑かけちゃって…」
『いえ。当然のことですから…』
…………沈黙。
“あの黒いポケモンはなに？”とか、“なぜあんなことが？”とか、絶妙に質問し難い文言しか頭に浮かばない。
彼の方といえば未だ気まずそうにしていて、たまにちらちらと海の方を気にする様子を見せるだけ。
「あのポケモンのこと…さ、知ってる？」
何秒か間が空いて、彼は声を絞り出すようにして話しかける。言葉を選んでいるのだろう。
『…あのポケモン？』
「そう、黒い…大きなやつ。」
『えと…分からないです。そもそもトレーナーになったばかりだから…』
「…あ、そっか、ここって……パルデア地方？」
『はい、パルデアです。大きなアカデミーがある…』
「あれ…あの…アカデミー…スクールみたいなやつ？」
『そうです、スクールみたいな……』
お互いペラップのように会話して、なんともいえない時間がすぎていく。
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おこめ(プロフ) - めちゃくちゃ好きです…作者様のペースで更新頑張ってください！応援しております…！ (2月23日 1時) (
レス) @page15 id: 3c9b9f762c (このIDを非表示/違反報告)
ひな(プロフ) - 更新ありがとうございます！！ (2月21日 13時) (レス) id: 1ddf176c35 (このIDを非表示/違反報告)
ひな(プロフ) - 更新ありがとうございます！！！！！！好きです！！ (11月6日 8時) (レス) id: 1ddf176c35 (このIDを非表示/違反報告)
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