英雄 in パルデア【トウヤ】 (ページ4)

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…溺れてしまったのでは。

そんなことが頭によぎれば半袖のシャツをさらに腕まくりして崖に這いつくばり、もう一度よく海を見た。

ああやっぱりいない、探しに行かないと。

…そうやって正義感に駆られていれば、ぽんぽん、と肩を叩く人の手の感触がした。

なんだなんだ不審者か変態か、なんて酷く慌てて振り向けば、傷だらけの体でふらふらしながら辛そうな笑みを浮かべる、あの青い服の男性の姿があった。

ぎょっとして立ち上がり、僅かに高い位置にあるその肩を掴んで安否を確かめようとすると、

彼は突然倒れてしまった。

─

場所は変わり、家、私のベッド。母は不在。
彼をぷよぷよなポケモンに協力してもらいベッドまで運べば、濡れたタオルや消毒液を持ってきてどうにかならないかと試みる。

すると、心配してボールから勝手に出てきたふわふわもこもこのポケモンが思いついたように、見た目に反して重い彼のバッグから一つボールを取り出して、繰り出す。

…タブンネだ。医療系の番組によく出るポケモン。

タブンネは出てきて彼と私を交互に見れば、状況を理解したのか私の持っていたタオルと消毒液を強引に奪い取り、慣れた手付きで彼の服を脱が………

ああ、ええと、後ろ向きます。

それにしても、あのタブンネはいじっぱりな性格なのだろうか、全くタブンネっぽくなかった。なんて考えながら壁に埋まってしまいそうなほど隅っこで…いわゆる体操座りをして、治療が終わるのを待つ。

するとぴょこぴょことふわもこのポケモンがやってきて、“ありがとう”なんてお礼を言うようにぺこぺこ小さな体をまげる。

『どうってことないよ。』

ちょっとひねくれた返事を返せばふわもこの頭を撫でた。
ふわもこは感動したように目をうるうるさせ、私のひざの上に乗るとふわふわな頭を擦り付けた。とても心地よい。

…治療にいやしのはどうを使っているのか、なんだか心も体も暖かくなってきた。

まだ昼ごはんも食べていないけれど、昼寝くらい良いでしょう。
そんなことを考えれば、ゆっくり目を瞑った。