恥ずかしがり屋と呪言師 (ページ38)

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１６話ページ38

「恵くん、野薔薇ちゃん、お待たせ」

今日は久しぶりに１年生3人のお休みが重なってお出かけすることになった

野薔薇ちゃんのジャージに穴を空けられて、なかなか買いに行くタイミングが無かったから、一緒に行くことにしたのだ

「それじゃ出発！！」

そう意気込む野薔薇ちゃんに「おーー」と腕を挙げる私の横で恵くんがため息をついた

どんどん前を歩いていく野薔薇ちゃんは本当に楽しみなのか私と同じ気持ちでなんだか嬉しい

「悪かったな」

「え？」

「その……手首」

恵くんが指を差したところにはうっすら赤くなってる痕がまだ残っていた
長袖で隠れてるつもりだったけど、見えてしまっていたようだ

「大丈夫だよ！全然痛くないし！
それにあの時は私もいけなかったんだから、それ以上、言うなら怒るかんね！」

そう言い切ると「ありがとう」と返ってきてから、「おせぇぞ！早くしろー、売り切れたらどうすんだ」と野薔薇ちゃんから怒号が飛んできた

慌てて後ろを追いかけると目的のスポーツ用品店についたようだ

「あ、これ良いわねぇ
それともこっち？」

手に取ったジャージを自分にあてて試すのかと思ってたのに、なぜかあてがわれていた

「なぜ？」

「どうせ買うならお揃いにしましょ」

だそうだ

「こっちにすると私に似合わないのよねぇ
色ねぇのかよ！」

顔の系統が全然違うのだから、お揃いするのはなかなか難しいのでは……

「これは？」

恵くんも選んだようだが、二人から「ダサイ」と返ってきてから自分のを探しに行ってしまった

何度も様子を見に来るもその度に「まだ」と言われ少し可哀想になってきた

「これならいいわね！」

ようやくお気に召したようで、ルンルンとレジへと向かい支払いを済ませ戻ってきた

「ほら、Aのよ」

手渡された袋には先ほど選んでいたジャージの色違いが入っていた

「お揃いにしたいのは本当だし、プレゼント」

「ありがとう」

嬉しすぎてにやければ、野薔薇ちゃんも笑顔を溢していた

「楽しいね」

恵くんも「そうだな」と満更ではなさそうだ

「次はあそこよ！」

まだまだ買い物は終わらないようだ

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