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「寂しかったね、悲しい想いさせないから
絶対、助けてあげる」
本当は白装束に着替えなきゃいけないけど、生憎、呪霊を払うと思ってたから用意などしていない
仕方ないと小さく息を吐き、着ていた服を投げ捨て、いつもは結んでいるリボンも朝貼ったばかりの湿布をも外した
ポシェットからお札を一枚咥え水の中に入ろうとすれば、「A！」と棘先輩の声が聞こえ、腕を引っ張られた
その顔は必死に止めようとしているのに赤に染まっていた
私の腕を掴んでいた手をゆっくり離し、“大丈夫”というように手を振った
手で素早く印を結び、水の中に足を踏み入れると淀んでいた水が浄化されていくのが分かる
一歩、また一歩滝に近付くと拒まれ弾かれてしまった
「“瑠璃清瀧”(るりせいりゅう)」
札に息を吹き込むと現れた一匹の龍
「お願い、ここの神さまたちを助けてあげて」
呪力を清瀧に一気に流し込むと、滝の中に勢いよく入り、昇り始めたが、何かが邪魔して浄化が上手くいかない
さらに呪力を足すと滝の中から、清瀧が追い出され覆い被さるように何かが出てきた
「呪霊か」
再び印を結ぼうとすると向こうも気づいたようで長い樹の手で私を払いのけた
攻撃を防ぎきれず、滝の中の岩に背中を打ち付けた
相変わらずまだまだ穢れきって黒い水は重々しくて自分自身まで気に病みそうな程だ
でも負けてられない
呪術師になるって決めてたから
素早く印を結び直し「氷華(ひょうか)」の声に合わせ滝の水が凍り、華が咲き始め、「儚塵(びじん)」でその華は綺麗に舞っていった
「清瀧……」の方を見やるとやはり相性が良くなかったようですっかり消え始めていて、棘先輩が応戦しているところだった
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作者名：ゆきはな | 作成日時：2021年4月27日 22時
