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「では、帳を張ります」
伊知地さんが帳を張り、弓をポーチから取り出した
「大丈夫」と自分に言い聞かせるように手を胸で組み、びびっている自分を奮い起たせた
「ツナツナ、高菜」
大丈夫、一緒頑張ろう
ぽんぽんとフードの上から頭に手を置かれ、「はい」と返事をし、呪霊のいる建物へと足を踏み入れた
「もう来た!?」
ダメだ
やっぱり自分の呪力が抑えきれてないんだ
私が気づくのよりも早く狗巻先輩が前線に出て、「動くな」と一言発しただけで、呪霊の動きが止まった
「“焔舞爆炎”(えんぶばくえん)」
弓矢は焔に染まり、矢はいくつもに分裂し、確実に相手を射止めた
その後も狗巻先輩が呪言で上手く時間を作ってくれるお陰で狙いを定められ、次々に祓うことが出来る
周りを見渡し、本命がいない
「どこに……」
そんな時、すごい地響きが聞こえて地面が割れ始めた
「み゛づげだぁぁ!」
ちょうど裂け目に立っていた狗巻先輩を押し退ければ、自分が下に落ちていった
「明太子?!」
手を伸ばしている先輩が目に入ったけど、このままではこの呪霊を祓えない
「大丈夫ですよ。先輩
“式神、紅蓮不死鳥”(ぐれんふしちょう)」
すぐ出せるようにスカートに仕舞っていた札を口に挟み、勢いよく息と呪力を流し込むと大きな鳥が札から飛び出した。
自分の身を翻しながら、不死鳥に飛びのり、「狗巻先輩っ」と手を伸ばして、先輩を引っ張りあげた
「さっさと祓って帰りましょ?先輩」
「しゃけ!」
「さぁ、紅蓮!食事の時間だよ」
私に返事をするように鳴き、口を開くと、先輩の「爆ぜろ」と言うのに合わせて焔を吹き出した
「ゆ゛る゛ざな゛い゛」
焔の中から手が伸び、咄嗟に避けたが、近くの岩場に吹っ飛ばされてしまった
先輩もさっきの呪言で結構反動が来てるのか、呼吸がはやい
早く蹴りをつけないと私の呪力も限界だ
「“紅蓮不死鳥”もう一回行くよ」
構えた時、「高菜」と先輩が私の肩を叩いた
「“焔舞爆炎”(えんぶばくえん)」
私が弓矢を打ち、紅蓮不死鳥も焔をはき、「捻れろ」と先輩も呪言を言い放つと、すごい叫び声と共に呪霊も力尽きたようだ
自分の呪力も底がついてしまい、紅蓮不死鳥も消え去った
「疲れた」と座り込むと、パタパタと血が滴り落ちるのが目に入り、「またやっちゃった」と自分に笑いが込み上げる
「いくら!」と慌てふためく先輩に「大丈夫ですよー心配しないで?」と言ったものの重たい瞼には逆らえず目を閉じた
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作者名:ゆきはな | 作成日時:2021年4月27日 22時