86 追憶/ 魔王の呪い ページ36
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今すぐ夏目のところに行かないといけない。何かが崩れる前に。
行かないと、心が死んでしまうと思った。
分からない。分からないんだ何も。
何で、どうして、の言葉が頭をぐるぐると回る。
( …最近ずっと、『何で』しか出てこないな)
誰かに何かに答えを求めているのに、その答えはどこからも届いてこない。
今のAの感情を埋め尽くすのは途方のない悲しみと少しの怒り。
「…なつめ、なつめ…どこにいるの?」
手の震えが止まらないよ。どうしたら止まるのかな。
昇降口の階段を登りながら手を押さえつける。
すると急に足元に人影ができて上を見上げた。
瞬間、ひゅっと喉に冷たいものが通る。
( …なんで、こういう時に限って…！)
「れいせんぱい、」
ずっとずっと会いたかったはずなのに。
どうしてこんなに怖いと思うんだろう。
「…」
「っか、帰って来たの…」
「まァな」
「…そ、そうなんだ」
トン、トンと零先輩が降りて近づいてくる。
何で、今。このタイミングで会ってしまったのか。
押さえつけていた手を後ろに隠して、精いっぱいの笑顔を見せる。
「あ、あのね、零先輩…」
「お前の活躍、海外にも伝わってきたよ」
( ぁれ、…いつもの、零先輩…?)
褒められたことが嬉しくて、先ほど湧いていた怒りが消え去る。
そして急に今まで話したいことが頭に浮かんで来た。
階段を降りきってスタスタと歩く零先輩を追う。
「そっ…か！あのね、私夏休み毎日レッスンして頑張ってね…！コーチにも褒められるようになったしステージの上では緊張もしなくなったんだ！」
「…」
「ねえいつまで日本にいるの? 私明日オフだから」
「…」
「ね、零先輩…」
目も合わせてくれない、聞いてるかも分からないその冷たい零先輩の態度にフラッシュバックするのは、先ほどの奏汰くんの言葉。
今いる場所が噴水の前だからというのもあるのか。奏汰くんはいない。
違うよ。零先輩はあんなこと言わない。
だって零先輩はずっと優しくて、悩みも聞いてくれて。
来年の誕生日にまた星を見に行ってくれるって、約束してくれた。
そんな人があんなことを
「── お前、つまんね〜奴になったな」
聞いたことないガサツいた低音、向けられたことない冷たい深紅の瞳。
「ぇ、?」
息が止まる。
体も動かないAを置いて、零先輩は去っていった。
最悪で最低な呪いをかけて。
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かげやま(プロフ) - mmkさん» コメントありがとうございます☺️ かっこよくてカリスマがある俺零を書けてるか不安だったのでそう言ってもらえて嬉しいです〜😿！mmk様もお体にお気をつけてお過ごしください！更新頑張ります✊ (2022年8月15日 11時) (
レス) id: d06e41bbdd (このIDを非表示/違反報告)
mmk(プロフ) - すごく面白いです…！！俺零様がとても好きです…！！これからも体調崩さない程度に頑張ってください！更新楽しみにしてます! (2022年8月15日 11時) (レス) @page43 id: 27732d5374 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かげやま
| 作成日時：2022年7月13日 14時
