27 追憶/ 部活紹介 ページ27
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「…」
「A、」
「…そんな責めなくてもいいじゃん!私だって私のファンのこと悪く言われたくないよ!」
「ウン、ごめン。ちょっと言い過ぎタ」
面倒くさいなぁ。彼女は根が幼稚で自分勝手だからか感情の起伏が激しい。恐らく、両親がいない環境で伸び伸びと育てられたからだろう。
Aに両親がいなくて施設出身だという情報は、ついこの前Aから聞いた。
しかしAの言っていることも最もだ。
今彼女が怒っているのは自分のファンを変な人扱いされて言い返したら自分が悪いと怒られたこと。
夏目は余計面倒なことにならないようにすぐに謝ることにした。
Aと知り合ってから1ヶ月も経っていないが、彼女の対応は既に理解している。これが最善策だろう。
「だいたい、最初は私の味方についてたのにっ」
「落ち着いテ、A。キミの味方なことには変わりないかラ…。
キミはきっと今平常心じゃないんダ。さっき氷鷹北斗くんに煽られてからずっと冷静になれてなイ」
「そう!さっき氷鷹北斗が私のことを、って夏目、何で知ってるの?」
「実はあの時見てたからネ」
「え、なになに、もう俺ついていけてない!」
見ていたならそう言ってくれればいいのに、とAが思っているのが分かる。
これは言うつもりではなかったが、その事についてわざわざ聞いてもAは怒ったまま話しかけてくるだろうし、その時抱いていた怒りを夏目が教室にいることへの驚きに変えることができると思った。
そしてそれは、結果的にあっていた。
「…何か今日の夏目、嫌」
「いつもこんなんじゃない? だからうっきょんは苦手なタイプだと思ったんだよ」
「ううん。いつもは私に……あ、氷鷹北斗で思い出した!私部活決めなきゃいけなかったんだ」
危ない危ない。それこそ夏目が登場したいで忘れるところだった。
だけど部活に入れと言われても入れる部活なんてない。
運動部に入りたいけど結局試合には出れないし、文化部もAにとってつまらない物しかないし。
「なラ、ボクと一緒のところに入ル?」
「夏目と一緒の…夏目は何部だっけ」
「ゲーム研究部。そうダ、今日の放課後は空いてるかナ」
「うん。今日は夏目のとこ行こうと思ってた」
「じゃあ紹介してあげル。放課後に迎えに行くヨ」
夏目はそう言って優しく微笑んだ。
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かげやま(プロフ) - みそらーさん» こんにちは!コメントありがとうございます!新作です〜🥳こちらこそ楽しんでもらえるようにがんばります✊ (2022年4月2日 15時) (レス) id: d06e41bbdd (このIDを非表示/違反報告)
みそらー(プロフ) - し、新作ですか…!楽しみです。自分のペースで、応援してます!! (2022年4月2日 15時) (レス) id: 6e5a03b04b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かげやま | 作成日時:2022年4月2日 0時