検索窓
今日:10 hit、昨日:40 hit、合計:153,779 hit

16 追憶/ 始動 ページ16

.




最後、ギターの音で曲が締まると、わああ!と歓声が上がった。マイクを握って膝に手をついていたAは驚いて顔を上げる。

そこには不良たちの他に別の夢ノ咲の生徒がいたり、私服のお客さんもいたり。いつの間にか人が増えていたみたいだ。

うおー!などという雄叫びがなったり、「ファンになったぞー!」とヤジが飛んだり。しかしヤジだと思っているのはAだけで、この場所にいる人たちを魅了させたのは紛れもない事実だった。そのことに気づくこともなく。


( あ、そうだ、事務所の人に言われてたんだった )

出来る限りファンを多くしなさい、とマネージャーになった人に言われたのを思い出した。出だしのファンほどついてくる人はいないからって。


「聴いてくれてありがとう!…えっと、私のこと応援してくれるとうれしいです」


そう会釈をして、ステージを降りた。
その際ハイタッチをされたり声をかけられたりしたが、珍しく応える気になった。

鞄の置いてあるところに戻れば、薫くんがドリンクを手にして「お疲れ様」と笑いかけてくれる。


「これ差し入れ!かっこよかったよ」

「あ、ありがとう…!かっこいいって言われるのがいちばんうれしい」

「俺はいつでも女の子を喜ばせる言葉しか言わないよ」

「ほんとだ、すごいね!」

「……や、今のはツッコむところね」


薫くんがくれたのはりんごジュース。
普段ジュースばっかり飲んでるAの大好物でもあった。
( すごいなぁ、私の好きな物まで持って来てくれるなんて )
いや、たまたま?


「うーん…ピュアすぎて難しいなぁ」

「なに?」

「Aちゃんがいい子だって話。…ね、Aちゃんがよかったらなんだけど、またここでやってくれないかな?」

「え!いいの?」

「盛り上がるに越したことはないしね!俺もAちゃんの歌好きになっちゃったから、今日で終わりなんてもったいない気がして」

「っありがとう!薫くん!」


また1からスタジオを探す必要がなくなって、Aは助かる思いだ。


「…私、もっともっと頑張らないと」

「アイドルになるから?」

「そう!事務所の人たちに恩返しできるように、と、あと……」


あとひとつ。Aがアイドルになった理由。
それは人に言うものじゃないから、Aは口を噤んだ。


そしてAはこれからの人生が大きく左右する出会いをする。






.

17 専用衣装/ 痛みと悲痛→←15 追憶/ 始動



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (120 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
491人がお気に入り
設定タグ:あんさんぶるスターズ , 五奇人 , 朔間零   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

かげやま(プロフ) - みそらーさん» こんにちは!コメントありがとうございます!新作です〜🥳こちらこそ楽しんでもらえるようにがんばります✊ (2022年4月2日 15時) (レス) id: d06e41bbdd (このIDを非表示/違反報告)
みそらー(プロフ) - し、新作ですか…!楽しみです。自分のペースで、応援してます!! (2022年4月2日 15時) (レス) id: 6e5a03b04b (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:かげやま | 作成日時:2022年4月2日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。