64. プライベート ページ14
.
とりあえず契約している部屋に荷物を移しなさい、と言われて大人しく荷物を部屋に移した。
契約している部屋というのは晃牙と同じ例の部屋だ。
一応、Aのベッドも置いてある。何も手を加えていないためただのベッドだが。
有難いことにAが暮らしていた部屋は天祥院先輩が管理してくれるらしい。だから家賃も払わなくていいと。
そこまでしてもらう必要はない、自分で払うとAは断ったものの、誰に何をされるか分からないのに放置はできないと正論を返されたため渋々お願いした。
というか、その方が絶対に安心だ。
「…お邪魔します」
「何で他人面してんだよ」
「いや、なんとなく」
「まあいいけどよ。阿呆のスペースはそこな」
「その呼び方やめてください。本当に」
晃牙に手伝ってもらい、何とかある程度の荷物を整える。
理由を伝えた時の晃牙の反応は言うまでもない。
「…それで、風早先輩? だっけ。今日はいないの?」
「さァな。その内帰ってくるんじゃね〜の」
「そっか〜」
よく分からないけど良い人だといいな。
どうやら晃牙の他にも人が増えたらしい。余計寮生活が嫌に思えてきたけどもう致し方ない。その人と仲良くなろう。
その後、星奏館の中を案内してくれるという晃牙についていってどこに何があるのかを教えてもらった。
「おや、ここでは見慣れない姿じゃのう」
「朔間先輩、お久しぶりですね」
「元気にしておったかや」
「元気です！」
夕方になったからか、珍しい人に会えた。
朔間先輩とはサークルが同じだけど滅多に顔を合わせない。嫌ってるとかではなくたまたま合わないだけだ。
「ふふ、天祥院くんが頭を悩ましておったが」
「うっ…」
「橙条くんは他人に興味がないと言うより自分自身に興味ないように見える。自分を大切にせえよ」
「…そうですかね」
「自分を大切にしてから、人を大切にできるものじゃからな」
「……」
Aは朔間先輩の言葉を聞いて何かに気づいた。
「あの、」
「ん?」
「人に対して素直になるって、自分にも素直になるってことですか?」
「…」
「仲良くない人にどんな接し方すればいいか分からなくて、」
「きっと、橙条くんが笑えば、彼も笑って答えてくれるはずじゃよ」
「……」
俺が、笑う。
「お主たちは似たもの同士だからのう」
朔間先輩はそう笑って、どこかに行ってしまった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 708人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かげやま(プロフ) - 鈴花さん» コメントありがとうございます✨️私もまたこの2人書きたいなと思ってるので機会があれば…！臨時ユニットのお話も😂 (2月20日 23時) (
レス) @page49 id: 2b4670edb1 (このIDを非表示/違反報告)
鈴花(プロフ) - 一気読みしました！超最高でした！まだまだこの2人の不仲話も仲良し話も読みたすぎる…！あと臨時ユニの話を読みたい！ (2月7日 14時) (レス) @page1 id: cfaa8deb10 (このIDを非表示/違反報告)
かげやま(プロフ) - 俎板さん» コメントありがとうございます✊無事完結出来ました…！読んでくださりありがとうございました！嬉しすぎるお言葉〜😭🙏次の作品もよかったら…！ (2022年3月26日 2時) (レス) id: d06e41bbdd (このIDを非表示/違反報告)
俎板(プロフ) - 完結おめでとうございます…！作者さんのお話大好きです〜！ (2022年3月26日 1時) (レス) @page49 id: 0b4ff99b4b (このIDを非表示/違反報告)
かげやま(プロフ) - 彼岸桜＋αさん» こんばんは！コメントありがとうございます〜…！😖以前いただいたコメントで勇気づけられながら完結へ行けることが出来ました！本当に感謝しています😭最後まで読んでくださりありがとうございました！ (2022年3月25日 21時) (レス) id: d06e41bbdd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：かげやま
| 作成日時：2021年7月3日 0時
