175 ルックバック/ そんな人 ページ25
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車から降りて、校門を通る。
今日から1時間目からしっかり出るということもあり、生徒が多くて視線もビシビシと伝わってきた。
( …囲われないだけマシ)
今Aが何かを伝えるためにはこのメモ帳を使わないといけない。面倒くさいのはAの方だ。早く声が出るようになればいいのに。
医者が言うには大きなストレスがAの体に耐えきれず、反動で声が出なくなってしまったと。何かきっかけがあるかもしれないしたまたま出るようになるかもしれない。
大きなストレスとは、きっとファンに殴られたことだろう。
それだけではないと、Aは書かなかった。
多分昔のことを鮮明に思い出してしまったから。
ずっと蓋をしていた記憶が_______
「Aちゃん、おはよう！」
「…」
「教室まで大丈夫だった? 本当は迎えに行こうと思ったんだけど」
「…」
「ん? ……『そんなことしなくていい』。そ、そっか」
こうなったらこうなったで面倒くさいな。
Aはため息をついて席に座る。
チラ、と教卓の方を見るとスバルとうきくんが教卓に隠れて顔の半分上だけを覗かせていた。
「……」
「アッウッキ〜！バレた！見つかった！」
「そりゃこんな怪しいことしてるからだよー！お、おはようAちゃん！」
「…」
「うっきょん…本当に声、出ないんだ」
「…」
スバルの寂しそうな顔に、Aは目を伏せるだけだった。
喉に触れて声を出そうとしても何かが突っかかるような感覚で、息だけが口から出る。
「…Aちゃん」
「今すぐうっきょんを抱きしめてあげたいのに〜…！」
「あはは…僕たち、Aちゃんに近づけないからね…。
近づけるのはあんずちゃんだけ。でもよかった、去年だったらあんずちゃんすらいなくて、Aちゃんを支えられる人はいなかったから」
「…」
「…『そういう話をされたの?』うん。全学年を講堂に集めて椚先生が」
だからか。誰にも話しかけられず囲まれなかったのは。
( そしたら、零先輩も…? )
というか零先輩はどこまで知ってるんだろう。
付き合ってると誤解されて殴られたと、知ってるのだろうか。
ああ、嫌だなそれは。
零先輩はあんずを好きなのに。何も関係がない私のファンに誤解されて、それが傷害事件の理由にされて、零先輩の迷惑になっている。
「…」
もうずっとAが恋をしてはいけない理由ばかり気づいてしまって、喉の奥がじわりと焼けるような感じがした。
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かげやま(プロフ) - 瑠衣さん» コメントありがとうございます。遅くなってしまってすみません…（ ; ; ）引き続き楽しんでもらえるように更新頑張ります🥹🫶 (2022年10月24日 11時) (
レス) @page21 id: cbb4c9f31f (このIDを非表示/違反報告)
瑠衣(プロフ) - 更新ありがとうございます！続きがすごく楽しみです、、！ (2022年10月23日 20時) (レス) @page21 id: 04c1c43a5d (このIDを非表示/違反報告)
かげやま(プロフ) - めぐるさん» コメントありがとうございます。このあと先もドキドキを届けられるように更新頑張ります✊読んでくださると嬉しいです〜🫶 (2022年9月30日 10時) (レス) id: cbb4c9f31f (このIDを非表示/違反報告)
めぐる(プロフ) - 更新のたびにどきどきしてます！がんばってください！ (2022年9月30日 10時) (レス) @page7 id: 3d1c15bfdf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かげやま
| 作成日時：2022年9月29日 6時
