176 ルックバック/ そんな人 ページ26
.
体育の時間。Aは参加せず、制服のまま日陰のあるベンチに座って見学をしていた。9月下旬とはいえまだ暑い。日差しも天敵だ。
ポッケにはメモとペンが入っている。
スバルやうきくん、あんずが楽しそうな声を出しながら受けているのをぼうっと見つめる。
( まさか体育も禁止されるなんてな〜…)
体を動かすことが好きなAにとっては少し辛いが、仕方ない。事務所の言うことは絶対守らなくてはいけないのだから。
「おやA、こんなところで日向ぼっこですか♪」
「!?」
「そんな化け物が出たみたいな顔しなくても。というかいつもそんな顔されますね、私」
び、びっくりした。渉くん、いつの間にか隣に座っているから。
「…」
「ん〜、何でしょうか。…『こんなところで何してるの』ですか。たまたまAを見つけたので話しかけただけです…☆」
「…！」
「あ、私読唇術を身につけてるので一々メモを通さなくても大丈夫ですよ。そのまま話してみてください」
「…」
どくしんじゅつとは何か、そんなどうでもいいことは置いておいて、Aは「話しかけちゃダメだよ、そう言われたでしょ?」と無声のまま口だけ動かした。
「ああ…でも私その集会に出ていませんし、何よりAと私が付き合うなんてありえませんから」
あまりの暴論に驚くけれど、この人は元々そういう人だった。
しかし驚くべき点はそれだけではなかった。
私に近づいちゃいけない理由も知ってるの…?
「ええ。先ほども言ったとおり、集会では何て言ったか知りませんけど。
しかし大まかな想像は出来ると思いますよ。ちょうどAは、零と付き合ってるのではないかと、ファンに噂されていたらしいですしね」
…知らなかった、噂なんて。
「Aはファンに対して無関心なんでしょう。あるイベントをきっかけにそんな噂が出たんです。…きっと零も知っていると思いますよ」
ファンに対して無関心。メイクさんにも言われた言葉。
でも、だって、そんなの嘘なのに。
零先輩と付き合うなんて、あるわけないのに。
それを誰よりも望んでいるのは、私なのに。
.
177 ルックバック/ そんな人→←175 ルックバック/ そんな人
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 598人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かげやま(プロフ) - 瑠衣さん» コメントありがとうございます。遅くなってしまってすみません…（ ; ; ）引き続き楽しんでもらえるように更新頑張ります🥹🫶 (2022年10月24日 11時) (
レス) @page21 id: cbb4c9f31f (このIDを非表示/違反報告)
瑠衣(プロフ) - 更新ありがとうございます！続きがすごく楽しみです、、！ (2022年10月23日 20時) (レス) @page21 id: 04c1c43a5d (このIDを非表示/違反報告)
かげやま(プロフ) - めぐるさん» コメントありがとうございます。このあと先もドキドキを届けられるように更新頑張ります✊読んでくださると嬉しいです〜🫶 (2022年9月30日 10時) (レス) id: cbb4c9f31f (このIDを非表示/違反報告)
めぐる(プロフ) - 更新のたびにどきどきしてます！がんばってください！ (2022年9月30日 10時) (レス) @page7 id: 3d1c15bfdf (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：かげやま
| 作成日時：2022年9月29日 6時
