145 スカウト/ 恋のキューピット ページ45
.
.
.
ドラマ撮影は夏休み直前から始まり、Aは自分とは違う明るくてかわいい女の子を演じることに奮闘していた。
右京Aのコンセプト的に役が合わせてあるため楽ではあるが、かわいい女の子を演じるのはやはり難しい。
日和先輩は相手役で2個上の先輩。よくある先輩に憧れた主人公がどうやって付き合うかを描いた物語だ。
( 恋愛とかよく分かんないなあ…好きな人とかいたことないし、)
ドキドキする、キュンってした、とはよく聞くしセリフにもあるけれど。そんな気持ちを抱いたことがまったくない。
そして2話、3話、と放送が過ぎていく中、そろそろ主人公が自分の恋心を自覚するシーンの撮影が迫っていた。
「…『みんなと違うの、あの人だけが輝いて見える！これってもしかして私…』、輝いて見えるって何。発光してるの? 日和先輩が? …えーー?」
そんな演出今までなかったのに。
気晴らしにやってきた屋上で、Aはぐで…と伸びた。
分からないな。恋なんて。
友情ですら何も分かってない。
とりあえず休もう、と台本を顔に乗せて風を浴びる。
( 演技って難しい。転んで痛いフリをするのは経験してるから分かるけど、経験したことないことはどうやって演じればいいの )
渉くんはすごいなぁ、あんな舞台で。そういえば夏目が演者の中でも優れてるって言ってたっけ。宗くんも渉くんのことべた褒めしてた気がする。
( …アドバイスを─ )してもらう? と浮かんで、急いで頭を振った。バサ、と落ちた台本。
「…無理に決まってるじゃん」
「ふむ、一体どこのセリフで迷っているんです?」
「!? …ゎ、わ」
「もしかして『あいたた〜☆ もう！こんなところに石置いたのだれ〜！』ですか? いや〜、ここのコツとしてはAのとびきりの可愛さを活かして頬に空気を入れて怒る、あざとさを狙った方がドラマ的に映えると思います♪」
「…」
「そんなおばけを見たみたいな反応をしなくても。はい、どうぞ。落としてはいけませんよ、大切な台本ですから」
「…ありがとう」
台本を受け取るために仰け反っていた体を元に戻す。
まさか考えている時に本人が登場するなんて。
夏目ともこんなことがあったような…。2人は師弟関係(夏目だけだったが)だから、よく似たようなことがあるのだろうか。
驚きすぎてバクバクと激しく動く心臓を抑えて、渉くんを恐る恐る見た。
.
146 スカウト/ 恋のキューピット→←144 スカウト/ VS先輩
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 492人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かげやま(プロフ) - LIさん» コメントありがとうございます！ただただ私が書きたいことを書いているので、そう言ってくださる方がいることに喜びを隠しきれないです(;_;)お待たせしてしまうこともあるかもしれませんがこれからも楽しんでもらえるように頑張ります！本当にありがとうございます。 (2022年9月26日 6時) (
レス) @page44 id: cbb4c9f31f (このIDを非表示/違反報告)
LI(プロフ) - 今日の更新ありがとうございます！本当にこの物語大好きです。毎回泣きそうになりながら読んでいます！このお話の内容が本当に大好きです。これからも作者様のペースで更新頑張ってください。素晴らしい作品をありがとうございます。 (2022年9月25日 20時) (レス) @page42 id: 8345af9beb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：かげやま
| 作成日時：2022年8月21日 1時
