【募集企画】東方幻想記録物語8巻 (ページ13)

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ひとつの提案　十六夜空夜ページ13

―――やれやれ、困ったなぁ。まるで私が邪魔者みたいだ。

妖怪達をばっさばっさと斬り伏せていく傍ら、空夜は情報の奔流の中に一つのシーンを見つけた。金髪の幼女と紫髪の吸血鬼―――つまるところ、フランドールとファラーシャ・スカーレット姉妹―――の会話。飛び立って行ったファラーシャの背中と、うつむいたフランドールの小さな背中を。

「ファラーシャさんも大胆なコトを考えるものだ。平和の為の支配……なるほどね。その思想が合っているか間違っているかはまあ些事だが、スカーレット家と幻想郷は対立せざるを得ないだろう。無論、紅魔館のメイドの私としては人里に気軽に行けなくなりそうなのは困るし、フランも断ったようだから協力するいわれは無いんだが、『自由奔放で危険な賢人』としてはどうにも―――おお、滾ってきてしまうねぇ」

戦闘がひと段落つき、犬猿の仲である狂花と別れた空夜は、瓦礫の山と化した人里を歩きながら呟いた。気まぐれにふわりと空へ舞い上がると、噂をすればと言わんばかりに現れた、紫髪の少女(ファラーシャ)と白髪の少女(十六夜美夜)の二人組のもとへ飛んでいく。
二人が存在をきちんと認識できる範囲に入ると、空夜は銀の髪を躍らせながら社交ダンスのようにくるりと回転し、

「やあ、ファラーシャさんに美夜さん。フランの説得はどうだったかい？」

戯けたように笑う。ファラーシャはふわりとした紫の長髪を風に揺らし、

「空夜ったら、性格が悪いわね。どうせ見ていたのでしょう？」

如何なる異性―――どころか同性すら恋に落ちてしまいそうな、妖しげな微笑みを浮かべながら振り返った。

「嫌だなぁ、それじゃあ勝手に知ってしまう(・・・・・・)だけの私が覗き魔みたいじゃないか。でも見ていたのは認めるよ。フランに断られたのも知っている。―――そこで、私から提案があるんだが」

空夜の言葉に、ファラーシャは不敵に微笑む。側に立っている美夜は、いつものポーカーフェイスのまま、ちらりと空夜を見ただけだった。美夜は心理戦に滅法強い事は空夜も知っている。だが、ここは彼女の出る幕ではない。

「なぁに？私、気になるわ」

「ファラーシャさんこそ性格が悪いな。大体わかっただろうに」

空夜は苦笑する。一拍置いてから、空夜は一切の表情を捨て去った氷の無表情で、言った。

「―――私は、君の幻想郷の支配を手伝おうと思っている」

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藤蘭様へ
空夜の提案は蹴っ飛ばすも受け入れるもご自由ですので、何卒よろしくお願いします。