【募集企画】東方幻想記録物語8巻 (ページ28)

今日:3 hit、昨日:4 hit、合計:4,135 hit

ばとる・うぃず・ふぉーりなー？　千歌ページ28

「現れよ！カリバーン！」

場所は人里、少女戦闘中。
天宮雫と相対する千歌は、高らかに宣言する。掌を前に出すと、そこには光り輝く銀の剣が現れた。その剣の名はカリバーン。アーサー王伝説に登場する選定の剣である。

「ハァァァアッ！」

千歌が剣を振り下ろすと、ドン！という轟音が空気を揺らした。衝撃波が周囲一帯を突き抜ける。
雫はくすりと笑うと、胸元から札を取り出した。

「スペルカード―――」

「そらっ、食らいやがれ！」

雫がスペルカードを発動しようとした瞬間、少年の声と共に風が吹き抜けた。千歌が驚いて振り返ると、緑のジャージが遠目からもわかりやすい、見慣れない顔の少年が立っている。横には太陽の畑の主人・風見幽香も立っている。幽香もまた、幻想郷中に顔が利く千歌の友人のひとりである。千歌は走って近づき、幽香に話しかけた。

「ねぇ幽香ぁ、横に居んのどなたサマ？見慣れない顔だけどどしたん？あたし知らない人なんだけどー」

「ああ、千歌は知らないわよね。実は十日くらい前に幻想入りしてきた外来人よ。まあ色々あって、うちで預かってるの。ほら剣城(つるぎ)、挨拶」

幽香に剣城、と呼ばれた少年はぺこりと頭を下げる。礼儀があって良いなぁ、と千歌は思った。妖怪なぞはどいつもこいつも出会い頭に襲ってくる幻想郷では珍しい、礼儀正しい人間である。思わず顔がほころび、優しい笑顔を浮かべる。

「風原(かざはら)剣城だ。よろしくな。あんたは？」

「えへへ。あたしは瀧花千歌だよー。外来人って珍しいよね！幻想郷って物騒だから生活しづらいかもしれないけど、住めば都！あたしだって昔は外に居たけど、今となっては立派な幻想郷の住人だし！困ったらいつでも相談のるよー！」

「ああ、よろしくな！……ところで、あそこに居るのが『異変』？ってやつの元凶なのか？」

剣城はいかにも善良そうに笑い、雫を指差す。千歌はやれやれといった表情で頷き、「まあ安心しちゃって。あたしが助けたげるから！」とウィンクした。

「千歌、剣城は幻想郷に来たばかりなのに紫に無茶振りされてね。異変解決を―――まあ職場体験みたいな感じで頼むわ。あくまで剣城は援護に徹させてあげて」

元気に戦う気満々の剣城を横目に見ながら、幽香は千歌に耳打ちした。千歌は快活に笑い、「おっけー！任しちゃってよ！」とサムズアップする。

「さぁ！頑張るよ剣城！現れよ、エクスカリバー！―――ついてこれるもんならついて来ぉぉぉい！」

「いよっしゃぁ！」

わくわくしてきたなぁ、と千歌はこっそりと思った。