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帰る道中、学園の空調設備もギリギリ行き届くかどうかの境目のオンボロ寮。
そこには雪が積もっていた。
「道理で寒いわけだ」
「オレ様冬毛だからそこまで寒くねえんだゾ。
貧弱だな、子分」
ピンピンしてるグリムとは反対に私は自然と身震いをしていた。
「これ、妖精さん仕事してる？大丈夫そう？」
「あ。そう言われれば火の妖精ってヤツ等も震えてるかもしんねえな。
薪を持って行ってやるか」
「グリムのくせに自分から随分優しいじゃん？」
私の先を行き学園に向かおうとするその背中に話しかけると
やけにどや顔で返された。
「ふん。
オレ様にはついでにキッチンに何か食い物があるか漁るっていう大切な使命があるんだゾ」
「あー、一周廻ってもうグリムらしくて最高」
食堂までの道のりでやはり誰にも会うことなく、学園を独り占めしているみたいで楽しかった。
学園全体に普段通りの人の気配や賑やかさが無ければ、一瞬にして異世界情緒が私を襲う。
つくづく本来私がいるべき場所じゃないんだろうなと思っちゃう。
「お待たせしました〜薪のお届け物です」
手一杯に持ってきた薪を順にくべていく。
勢いを失っていた炎は音と共に蘇ってきた。
「ほぁ、、、
おまえたちが暖炉に住み着いてる火の妖精か。側によると毛皮の芯まであったまるんだゾ」
「溶けてくねえ」
暫く二人くっついて暖をとっていた。
その癒しの最中、耳と鼻の良いグリムが何かに気が付く。
「ん？なんだ？
薪の燃える音に混じって、軽快な包丁のリズムと肉の焼けるジューシーな音が！？」
「え？ほんとに？」
「さらに、スパイシーでいて食欲を刺激する異国の香りが漂って来たんだゾ！」
「おお、やけに具体的」
「キッチンの方からだ！
行ってみようぜ、きらり！」
「え〜〜」
強引にグリムに引っ張られて私も厨房に侵入する。
ふと聞いたことのある声を感じて顔を上げると、そこにはジャミル先輩をはじめスカラビア寮生たち。級友もちらほらいたので手を振る。
パッと見、手際よくなにか料理を作っているようだった。
「ジャミル先輩お疲れ様です」
「ん？誰かと思えば君か。驚いたな。
、、、どうしてここに？」
「自分たちにとって帰る場所は此処にしかないのと、学園長からの雑用ですかね
先輩たちは？やけに人が揃ってるように見えますけど、帰省されないんですか？」
何気ない私の疑問がその場の空気を一気に凍らせてしまったのを肌で感じた。
ジャミル先輩はわかりにくいが、他の人たちは唾を呑みあからさまにまずい、という顔をした。
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ハク(プロフ) - ちりさん» ちりさん初めまして！コメントありがとうございます！マイペース更新で申し訳ないですが、これからも続きますのでよろしくお願いいたします！すごく励みになります！ (2021年2月27日 13時) (
レス) id: 0da3a6c4bf (このIDを非表示/違反報告)
ちり(プロフ) - 続編おめでとうございます！更新楽しみに待ってました！続き楽しみにしてます！ (2021年2月1日 23時) (レス) id: 8fda52038f (このIDを非表示/違反報告)
ハク(プロフ) - ナツロさん» ナツロさんはじめまして！ありがとうございます！恐縮です！ (2020年11月2日 17時) (レス) id: 0ebe25b1eb (このIDを非表示/違反報告)
ナツロ - とても素敵なお話ですね。陰ながら応援させて頂きます (2020年10月24日 13時) (レス) id: 49a0e1785e (このIDを非表示/違反報告)
ハク(プロフ) - 雪華さん» 雪華さんはじめまして！小さい頃以来触れていないのでどっぷりハマるくらい浸ってはいないですが、一応履修済みです。エドが初恋でした！唐突な質問の言い出しっぺである雪華さんはいかがですか！？誰推しでした？ (2020年10月13日 1時) (レス) id: 0ebe25b1eb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ハク | 作成日時：2020年10月12日 12時
