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「なるほど。実に魅力的な申し出だ」
「なら、」
アズール先輩の表情が若干明るくなったのを見て、狡猾の権化のようなレオナ先輩は口角をあげた。
「だが。悪いが、その程度じゃあこの契約書は返してやれそうにねえなァ」
「、、、えっ？」
「俺はな、今コイツに脅されてんだよ。
契約書の破棄に協力してくれなきゃ、毎日朝まで毛玉と一緒に部屋の前で大騒ぎしてやるってなァ。」
「は、、、？」
アズール先輩は、眼前の人が何を言っているのか頭に入ってこないようだった。
「コイツ、物置に眠ってた金管楽器まで持ち出してずっと吹いてると思ったら、毛玉も負けずとフライパンやらで不快なデュエットを始めやがる。
これじゃ、お前にオンボロ寮を取られちまったら俺が寝不足になっちまうよなァ。
コイツらに無事サバナクローから出て行ってもらうためにも、暴れん坊の甥が来たときに俺が楽するためにも、契約書は破棄させてもらうぜ」
そう。
こちらとしても久しぶりに楽器を吹けて楽しかったし、チェカ君の相手なら全く苦じゃない。
レオナ先輩の過去の契約を無かったことにできて、アズール先輩を地に落とすことができる。
我ながら、よくバカ騒ぎとちょっとの言葉だけでこの人をその気にさせることができたものだと思う。
今回の私の中で一番の大健闘だった。
「まさか、そんなことで、、！？」
「お前は悪党として、この草食動物に１歩負けたんだよアズール」
「う、嘘だ。やめろ！」
そんなことではやめないから、この人はレオナ・キングスカラーなんだ。
「＿＿＿さあ、
『平伏しろ！ 王者の咆哮』！」
アズール先輩の悲痛な叫び声と共に、黄金の契約書は塵となって消えた。
所詮はただの紙切れ。
分子レベルにまで分解されてはもう原形を保てない。
「あ、あああ、、あああああああああ！！
僕の、僕の『黄金の契約書』が、
全部、塵に、、、、ッ」
声色は弱弱しく、開いた口は塞がらず、その立ち姿にいつもの自信と覇気は無く。
たった今、私は他人の大切にしていたものをぶち壊した。
いつもならこんなに、なりふり構わず取り乱すことのないアズール先輩の平穏を壊した。
いつだって私はここの誰かの企みの邪魔をして、他人の何かをぶち壊している。
ぽっと出の私が。
大して関係のない私が。
この世界についてもよくわからない私が。
下らない罪悪感なんて感じている暇はない。
これが私の、この世界での存在証明だ。
何もしなければ霞んでしまう。
いてもいなくても変わらないものになってしまう。
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ハク(プロフ) - 或さん» 或さんはじめまして！ありがとうございます！唐突な告白に私も愛が溢れました、、、！随時更新していきますので、これからもご贔屓ください！ (2020年10月12日 12時) (
レス) id: 0da3a6c4bf (このIDを非表示/違反報告)
或 - この作品マジで大好きです。(唐突な告白失礼致します<(_ _*)>) (2020年10月4日 12時) (レス) id: 62feb543dd (このIDを非表示/違反報告)
ハク(プロフ) - カカオさん» カカオさん初めまして！コメントありがとうございました！ 今少し現実世界で忙しいのですが、空き時間を見つけては私の妄想を文字起こししていくので気長に待っていただければ幸いです！ カカオさんも幸せな夢女子ライフをお過ごしください！ (2020年8月27日 14時) (レス) id: 0da3a6c4bf (このIDを非表示/違反報告)
カカオ - 続編おめでとうございます 更新頑張ってください (2020年8月24日 23時) (レス) id: 91c2dfd957 (このIDを非表示/違反報告)
ハク(プロフ) - ちゃんちゃんこさん» ちゃんちゃんこさんはじめまして！嬉しいお言葉ありがとうございます！お陰様で更新が捗っております〜！！宜しければこれからもご贔屓下さい！ (2020年6月5日 19時) (レス) id: 0ebe25b1eb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ハク | 作成日時：2020年6月3日 18時
