35 ページ35
『俺こそが飢え、俺こそが乾き。
お前から明日を奪うもの____』
レオナ先輩が詠唱を始める。
周囲の存在粒子が黄金の光を帯び始め、レオナ先輩を中心に緩く旋回する。
これで勝ちは決まった。私は確信した。
「ッ、待ちなさい!」
モストロラウンジの入り口から血相変えて走ってくるのは渦中のアズール先輩。
「おっと、もうお出ましか。
それ以上こっちに近づくなよ。契約書がどうなっても知らないぜ」
レオナ先輩を真ん中にして、私たち悪巧み組3人は一直線にて相手と対峙する。
「か、返してください、それを、返してください!」
「おいおい、少しは取り繕えよ。お澄ましごっこはもうやめたのか?
その慌てようを見るに、コイツの見解は大正解だったらしいな」
隠そうともしない、だがしかし最高に似合っている悪そうな笑顔でレオナ先輩私を一瞥した。
アズール先輩も私を見る。
綺麗な顔にしわを寄せて、いつもは整った衣服を乱したままで。
眼鏡越し、その視線が私を貫いた。
「なん、だって、、、?
ッ、どうして貴女は。
どうして貴女に1ミリの利益もないのにこんなことを僕にッ!!」
__僕に。
その言葉の続きは何だったのだろうか。
するのか? させるのか?
罪悪感を抉ろうとするなよ。
「んー。理由は学園長に頼まれたし(金銭的な脅し)、これからずっとマブがイソギンチャクなのが視覚的に不快だったから。
学園長と私の利害の一致?かな」
「そんな、そんな外部の下らないことで、僕の、ッ」
余裕のあるものと余裕のないもの。
このような場合、どちらが立場上有利なのかは一目瞭然というものだ。
「可哀そうになァ、アズール。
だが俺もそこまで畜生じゃねえ。なあ、俺と取引しようぜ」
「、、、は?」
「オレたちはまあこの状況上、きらりさんと協力してると捉えられる訳っスけど
海の魔女のように深〜い慈悲の心?でアズール君に救いの手を一つ提案しようとしてるんスよ。
別に重複契約したって違反じゃない。どっちの味方に付いてもオレ達には関係ないし。
悪い話じゃあないっスよね?」
自信満々によくもそういうことを言えたこと。
つくづくアズール先輩が可哀そうだな。
いけ好かない、いつも澄ました優等生気取りが現在進行形で取り乱している姿を見て
心底愉しそうな表情してたのは一体どこのサバナクロー生なんだか。
「この契約書をお前に返したら、お前は俺に何を差し出す?」
「な、なんでもします。
テスト対策のノートでも、卒業論文の代筆でも、出席日数の水増しでも、何でもあなたの願いを叶えます!」
1806人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ハク(プロフ) - 或さん» 或さんはじめまして!ありがとうございます!唐突な告白に私も愛が溢れました、、、!随時更新していきますので、これからもご贔屓ください! (2020年10月12日 12時) (レス) id: 0da3a6c4bf (このIDを非表示/違反報告)
或 - この作品マジで大好きです。(唐突な告白失礼致します<(_ _*)>) (2020年10月4日 12時) (レス) id: 62feb543dd (このIDを非表示/違反報告)
ハク(プロフ) - カカオさん» カカオさん初めまして!コメントありがとうございました! 今少し現実世界で忙しいのですが、空き時間を見つけては私の妄想を文字起こししていくので気長に待っていただければ幸いです! カカオさんも幸せな夢女子ライフをお過ごしください! (2020年8月27日 14時) (レス) id: 0da3a6c4bf (このIDを非表示/違反報告)
カカオ - 続編おめでとうございます 更新頑張ってください (2020年8月24日 23時) (レス) id: 91c2dfd957 (このIDを非表示/違反報告)
ハク(プロフ) - ちゃんちゃんこさん» ちゃんちゃんこさんはじめまして!嬉しいお言葉ありがとうございます!お陰様で更新が捗っております〜!!宜しければこれからもご贔屓下さい! (2020年6月5日 19時) (レス) id: 0ebe25b1eb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ハク | 作成日時:2020年6月3日 18時