〈ツイステ〉魔法が効かない監督生

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「いえ大丈夫ですそんな、先輩にご迷惑をかけるわけにはいきません。
場所だけ教えていただければ自分で行くので」


マジでここでこんなに時間喰ってるほうが時間勿体ないから
もったいぶらないで早いとこ教えて欲しい。



「どうかご遠慮なさらず。
今日に限り私たち二年生は一限は自習なのです。

さあついて来て。」


そう言ってナチュラルに手を引いて私を導く。

前には私の手を引く眼鏡先輩が、両隣には背の高い双子先輩が。


なんだかもう逃げ場がなくてあきらめがついてしまった。


知らん遅刻でも先輩たちがなんとかしてくれ。
他力本願だ。




「さあここですよ。」



目の前には実験室と書かれた扉。
座席にはエースとデュースがいた。

間違いなくここだ。



「あ、ありがとうございました！
これで無事怒られなくて済みます」


「いいえ。これくらい礼には及びません。
では、僕たちはこれで失礼します」



本鈴一分前。


さっそうと去る眼鏡先輩の後ろ姿を見送りつつ、
やっぱりピンとこないんだよなあと考えていたら


背の高い双子の、紳士的な方がおもむろに自分の制服のブレザーを脱ぎだして
パサリと私の肩に優しくかけた。


何事か？と困惑した頭で考えつつ肩にかけられたブレザーと先輩の顔を見つめていれば


「そんな恰好では更に目立ってしまいますからね。
どうか使ってください」


「えええ〜
ジェイドずるぅい！俺もきらりになんか貸したい〜！」


え、このゆるゆる先輩。なんで私の名前知って、、、？


確かにこのみすぼらしい制服で授業を受けるのは失礼かもしれない。



「ありがとうございます、、、？」


「いえ。では僕たちも行きましょう。
フロイド。」



フロイド、と呼ばれたゆるゆるとした雰囲気の、なぜだか機嫌が悪そうな先輩は

先程からわたしに刺さるくらい鋭い視線を向けたまま、口はムスッと歪んだまま。


そしてニイッとかがんだかと思うと、私の耳元で



「俺たちぃ、もう寂しくて悲しくて死んじゃいそう。

だから早く思い出してね？」


と囁き、本当に愛おしそうな表情をしていた。




ここで邪魔をするように本鈴が鳴る。


「あ、おーいきらり！
お前の席ここだぜ！！」


振り返ればエースが私に手を振っていた。


「あ、、、。
失礼します」


小走りにエースの方に駆け寄る。


「なっ！！
お前これどうした！？めっちゃブカブカだし先輩のじゃん！！」


「いやなんか、、、」



＊＊＊



「気が済みましたか」


「うん。おもしれーカオしてたあ。
これで思い出してくれるかなあ？」


「だと嬉しいですね」

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