柱の少女の物語３〈鬼滅の刃〉

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ちょっと待って口に入れるなんて待って、

そう思っただけ無駄で、間に合うわけもなく。
拭った瞬間に躊躇いもせず口に入れた。

「あー、最悪」

もうどうなっても知らんよ私は、、、
珠世さん言ってたもん、私の血液は鬼たちの細胞活性促すって。
その成れ果ては細胞の過活性、過膨張、過増殖による破滅かもしれないのに。





自分の体が徐々に激しく脈打っていくのを感じる。
高揚感。研ぎ澄まされていく感覚。
なんだこれは。

稀血か？

いや違う。細胞に作用している。
細胞が反応している。


「なんだ、、、お前の血、、、どうなっている、、、」

瞳孔が開いている。
暗闇がいつもよりも明るい。

力が湧く。
滾っていく。

少女の肩を掴む手に力が入ってしまう。



「自業自得だよ。血なんか口に入れるから」

「説明になっていない」

「説明することで何か私にメリットあるんですか？と言うか肩かなり痛いんだけど」


この娘、自分の立場を分かった上での発言か？
普通の人間の女ならば本能的な恐怖が湧いて出るはずのもの。
肝が座りすぎている。


「まあ良い。後々吐かせれば良い事、、、。
此方もここで無駄な時間を掛けたくない。
大人しく付いてきてもらうぞ」


「、、、うん。いいよ」




ここで足掻いたところでいいことが１つもない。
私の仕事は、このまま連れていかれてその後いかに鬼殺のみんなのためにまとまった時間を確保するかだ。

柱稽古はもちろん、柱自身ももっと連携訓練だったり色々としてほしい。

一緒にできないのがとても残念ではあるんだけど。




「あ、でもちょっと待って。
最後にみんなにお別れ言っていい？」

「、、、3分程待ってやる」

「ありがとう」





木に寄りかかり、瞳を閉じている少女を見る。


蜜璃ちゃん。



「ごめんね。
私のせいで小芭内から貰った靴下片方ダメにしちゃった。

でもね、小芭内なら喜んで新しいの買ってくれると思う。
なんなら小芭内と沢山甘味処行って、お話ししてあげて欲しいな。

小芭内ヤキモチすごくするし、口下手なところあるけど
優しいし、誰よりも大切にしてくれると思う。
私が保証する。

もっと沢山、お話ししたかった。
一緒にお買い物して、甘味処寄り道して、夜中まで恋話したりして。

そんな、
そんな普通の幸せを、生活を、蜜璃ちゃんと送りたかったの。

蜜璃ちゃん
ごめんね、大好きだよ」


名残惜しい。
名残惜しくて頰に添えた手が離せない。

自然と涙が出てくる。


仲間を置いていくって、こんな気持ちなんだ。

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