柱の少女の物語３〈鬼滅の刃〉

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悲願成就。そんなんやはり日光克服しかないじゃん。
月神の力がやはりバレたと？
いやでも、私の力が日光に有効とわかったのは珠世さんのところで実感させていただいた後。

鬼舞辻無惨は、どこでその情報を得たと言うのだろう。


「きらり、大丈夫？」

「え？」

「、難しい顔してた。1人で抱えないでよ。そうやって置いていかないで。僕も連れて行って」

相変わらずあざとい。わかってやってるでしょう。
じゃなきゃ私の頰に手なんて添えない。
可愛い。顔が良い。大天使。確信犯。

「ごめん、考え事してただけ。
さあ、次は蜜璃ちゃん達の方に加勢するよ。
治癒しとく？」

そう聞くと、彼はあからさまに嬉しそうに頰を緩めて

「もちろん」

と答えた。
こんな甘ったれたところも、満面の笑みも、私だけにしか見せない。

「だと思った」

私は両手を無一郎の頰に添えて、額を近づける。
まつげが当たりそうな距離感。瞳の虹彩までよく見えてしまうほど。

2人は暖かい月色に包まれる。

疲労感が抜けていく。
筋繊維が生き返る。

私にしか懐かない野良猫みたいな性格、いつかなおしてあげたいな。

いつかは、
いつかは私無しで生きていくんだから。


×××


音のする方へ、2人で駆けていく。

どこまで進んでいるだろうか。戦況は。怪我の程度は。

私たちの方はそもそも里の人間と接触させなかった。

しかし半天狗ともなればちょこまかと移動するから、万が一避難中の里の民と遭遇されてしまっては困る。血を、補給してもらっては困る。


「音が近いね、」

「そうだね、そろそろかな、」


この開けた草原、知っている。
障害物がなく、陽の光が届いてしまうここは。

見間違えではなければ両腕を切り落とされた半天狗(心臓に籠ってる)が逃げてくるはず。

そうして前方に見える崖上を見上げれば、
ターゲットが炭治郎にぶち斬られながら反動で落ちてくるではないか。


「ビンゴ」

「ッ！！、俺から行くね」

すかさず無一郎が加速して距離を詰め、ヨボヨボと歩く彼の頸を狙う。


違うんだ無一郎、そいつは頸じゃあなくて。

でも、私がここまで知っているのは他の隊士からすればあまりにも不自然だし、時間の関係的に彼が頸を斬る方が速い。

頸が落ちた。

しかし止まらない。

ヨボヨボと、喰える人間を探し歩く。憎珀天が使い過ぎている血を補給するために。


崖下の炭治郎を見る。

よし、原作よりも怪我は酷くない。もう走り出せている。
まだ夜は明けない。禰豆子ちゃんも動ける。


「炭治郎！！君の鼻だ！！嗅ぎ分けてぶっ刺して！」

私は叫んだ。
彼の見せ場だ。

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