柱の少女の物語３〈鬼滅の刃〉

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今夜は上弦の月。満月が近い。
天は晴れていて月が主役の夜。
約束の岩場にはまだ気配がない。

鋼鐡塚さんは一言で言えばとてもめんどくさい性格だからなあ。
自分を死んでも曲げないし、不器用すぎて伝わらないし、ほんと。
あれは37歳のお兄さんとは言えないよ。
体だけ大きくなった子どもみたい。


この後はどうしようか。
そろそろ玉壺が来る。里の人の被害は出したくない。
自分だけで倒せるかな？やってみないとわかんないけど、なるべくみんなで半天狗を相手したい。
厄介なのは圧倒的に半天狗だ。

玉壺、半天狗が現れるのは明日から7日ほど後だろう。そのうちに私の刀は仕上がる。
半天狗は泳がせておいてもまだ良い。人が揃っていない状況で斬ってはいけないだけ。
人が揃っていれば早い段階で彼の最終段階まで持っていかせて血を減らせる。はずだ。

なんなら小鉄くんに零式と鍛錬させてもらうのも良い。

玉壺で面倒なのは気持ち悪いしタチの悪い金魚たち。
あれが暴れ出しては里の皆に被害が確実。
となると、みんなに伝えた方が効率が良い。

炭治郎、無一郎、玄弥くん、私の4人。蜜璃ちゃんも私の鴉で呼ぶとして、5人。
前日には会議したいけど、ご都合つくかな、、、



「遅刻だよー、鋼鐡塚さん。私待ったじゃん」

姿は見えない。が、気配からしてあの大木の裏。
間違いない。来た。

「来てやっただけ寛大に思え。まだ月は空にある。で、要件はなんだ。俺はとても忙しい」

「自分のトレーニングで忙しいって？笑うんだけど」

「、、、何故、と言いたいところだがまたいつもの勘、とでも言うのだろうな」

「大当たり〜〜要件、伝えたいんだけど顔ぐらいは見せてほしなあ？一応鉄珍さんに安否確認頼まれてるから」

そんなお願いだけで彼が動かないのは知っている。
だから自分から動く。

「実際俺はここにいるんだ。顔など見なくてもわかるだ、！？」

驚くのも当たり前だ。さっきまで岩場にいたはずの女がいないんだから。驚いて木に隠れていたのに出てきちゃってるの。

「あははは、こっちだよ鋼鐡塚さん」

さっき彼が隠れていた大木の枝の上から声をかける。お互いの位置が逆転した。

「これで対面で話ができる」

再び大木の枝から彼のいる岩場へと飛び、ついでに手を掴む。甘っちょろい鋼鐡塚さんはこれで逃げない。




先ほどまでいた場所にいないと思えば俺がいた大木の上にいた。相変わらずちょこまかとした女。
終いには手まで握られてしまった。
月明かりに照らされた、細く柔い腕。この腕で、俺よりも弱く、簡単に折れてしまいそうなこの腕で鬼と戦う女。

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