不穏な空気 ページ19
銀座高級クラブは歌舞伎町のキャバ嬢と違って、無法務地帯ではない。
会員制ではない代わりに、上級ホステスを指名できる客は限られていたのだ。
そして永久指名をしている客を最優先は常識だ。
「Aママ、久しぶりだな」
「毛利先生、お久しゅうございます」
例えその客が富裕層でなくとも。
それがホステスの嗜みなのだから…
「先週はプレゼントをありがとな。蘭が喜んでいたぜ」
「それはようございました。さぁ、毛利先生の為に特別のウィスキーを用意させていただきます」
「そうか!」
毛利先生の好みは把握している。
沖ヨーコさんの熱狂的なファンだから、同じ雰囲気の女の子を傍に。
「毛利先生、ご無沙汰しています」
「夏樹ちゃんに都ちゃんか!今日は豪勢だな」
「やぁだ!先生ったら!本命はママの癖に」
「そんなことはねぇぞ!ダハハハ」
ピンポイントだったわ。
都は見てくれは清楚系のお嬢様タイプ。
芸能界では沖ヨーコさんに似ているとも言われている。
夏樹はボーイッシュで真逆だけど、トークが上手。
お洒落が好きで、男女の機微にも敏感だからまず大丈夫だわ。
「まぁ、俺の一番はAママだからな!」
「もう!ひっどぉーい!」
「本当にね!」
毛利先生はお金を沢山落としてくれる。
むらはあるけどノリも良くホステスからは人気ナンバーワンだった。
それも毛利先生の魅力の一つだった。
「二人共、先生は私の特別のお客様のだから失礼のないようにね」
「はいマ…」
「ふざけんじゃないわよ!」
「え?綾乃?」
奥の席で綾乃の怒鳴り声が聞こえた。
「ママ!大変です」
「どうしたのサブローちゃん」
「本日初めて来店されたお客様と綾乃が口論になりまして…それで」
「何ですって」
「今は緑川が対応していますが…意味がありません」
黒服として入った景光が間に入っているようだけど、クレームの処理は難しい。
でも綾乃が癇癪を起すなんてありえない。
あの子は他の子よりも辛抱強く我慢強く気配りの上手な子だった。
なのに何故?
「止めろって陣平ちゃん!」
「お前は黙ってろ萩!」
いや、なんとなく察したわ。
聞きなれ声に、聴きなれた名前。
頭が痛くなった。
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killerハリケーン(プロフ) - とても、面白いです。更新楽しみにしてます (2022年7月27日 12時) (レス) id: 720db65644 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ししゃも | 作成日時:2022年7月14日 14時