優しい君 ページ7
昔から優しい人だった。
他人の痛みを自分の痛みにする程優し過ぎた。
「小さな犠牲をというけど。小さいって何?誰が決められるの」
「Aちゃん…」
「国の為と言いながら国を害している政治家、正義を持って仕事をしている人を排除され、権力者の為に私達は働くわけじゃない…貴方の価値を決めるのは貴方でも馬鹿共でもないわ」
景光が零のついでなんてあるはずがない。
「貴方がいなかったらアイツは一人ぼっちよ。貴方がいたからアイツは一人じゃなかった。私は正直貴方と航以外はどうでも良かったわ」
「酷くない?」
「関わる気はなかったもの」
警察学校に入ってすぐ、関わる気がなかったのは本当。
人間として欠落していたのは本当だから。
「貴方と航が私を引き止めた…それを忘れないで」
「ずるいよ…」
泣くのを我慢していた景光は再び涙を流した。
(許せない…)
内心で怒りが芽生える。
景光は決して弱い人じゃない。
むしろ逆だ。
彼をここまで追い込んだ古巣が許せない。
潜入捜査に関して調べる?
零と連絡を取るわけにもいかない私はふとスマホを見る。
「画面に皹が入りかけているじゃない?」
「あ…本当だ」
「スマホにこれつけなさい」
私達ホステスはスマホは大事な仕事道具だから他人に見られないようにするのは勿論、防水加工や、画面が割れないように工夫をする。
そこでどんな衝撃でも割れないフィルターを知り合いに作って貰った。
「これをつけておきなさい。水に濡れても大丈夫よ」
「そう言えば昔から使ってたな」
「そう必需品。お店の子にも使わせてるの」
「店?」
ようやく泣き止み、何時ものように戻った景光だったが。
「そう言えば何でこんんあ高級マンションに住んでいるの?」
「ここはお客様が買ってくれたの」
「は?買ってくれた…」
「私、銀座高級クラブで働いているの」
「えええ!」
景光には話しても問題ないかと思い軽く事情を話したら。
「絶対だメェェェ!」
私は忘れていた。
彼は昔から気真面目すぎたのを。
ある意味零より面倒だった。
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killerハリケーン(プロフ) - とても、面白いです。更新楽しみにしてます (2022年7月27日 12時) (レス) id: 720db65644 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ししゃも | 作成日時:2022年7月14日 14時