【刀剣乱舞】薄桜紀伝～放課後の舞姫【薄桜鬼】 (ページ3)

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「和泉守兼定。お前のご主人様は少々気が短すぎて困るね」

離れた場所にて、土方歳三の愛刀に語り掛ける。
もう一振りは沖田総司の愛刀の加州清光だった。

「そんでお前のご主人様は戦闘狂だ。まったく、壊れた襖に畳の修理費用がかかるんだが」

新選組屯所の修理費用。
道場の破損などに頭を抱える日々。

「本当に困ったな。お前はこんなに良い子なのにな」

刀がしゃべるはずもないが、Aは刀を手入れする時は語り掛ける癖があった。

物には魂が宿り、大切にすれば具現化する。

長い月日を得て付喪神になると言われる伝説を信じていた。

「お前達が喋れたらいいのにな」

そんな事はない。

そう思っていたのだが――。

まだこの時は誰一人として知る由もない。
一人の美剣士が零した言葉を刀が聞いていた事も、その願いは別形で果たされることになる事も。