元公安の審神者は歩く人間国宝〜

2 ページ19

その後どうなったかと言えば。

「主、食事だ」

「切国！」

完全に餌付けられました。
甲斐甲斐しくお世話をされた私は山姥切国広こと切国にべったりだった。

ちゃんと審神者の仕事はしています。

でも、仕事の合間にくっついているのだ。

食事は二人で取っているし、未だに私の体が本調子ではないので同じ部屋で寝ている。

台所に行く時も距離があるので審神者部屋にて囲炉裏を持ってきてもらって部屋で調理をして食事を取っている。

「切国が育ててくれた野菜、美味しい」

「フンッ、この程度」

切国は堀川国広の最高傑作らしいが、彼自身は写しであることを気にしている。

劣等感に苛まれながらも本歌の山姥切長義を誇りに思っているらしい。

「あるじさま、失礼します」

「あ、内番ご苦労さん。小夜…桃を貰ったから食べよう」

「はい、ありがとうございます」


初期鍛刀として顕現されたのは小夜左文字という短刀。
彼も色々と拗らせているらしいが、復讐という物が小夜を形にしてる。


けれど、笑う事もある。
私のお世話を率先してくれるし、こうして私がお願いすれば一緒に食事をしてくれる。

だけど、私が短刀ばかり顕現している事で政府から苦言を物申されるようになった。


「主、政府からだ」

「うー…」

「いい加減、脇差し以上の刀を顕現しろと。特に未だに大太刀がいないのに文句をつけているぞ」

「でも、私は鍛刀は最優先しなくていいと言われたのに」

そもそも私は時間遡行軍の隠滅を最優先を命じられている。
指令もこなしているのに、刀剣男士を増やせなんて言われるなんて。


「あるじさまは特攻隊なんでしょ？どうして」

「それが…」

「主の事情は知っているはずだ。にお関わらず何故だ？吐け」

「ぐぇぇぇ！」

こんのすけの首を握り締め上げる。

「偽物君、甘いよ。今夜はきつね鍋にしようじゃないか」

「お止めくださいぃぃ！」

切国のすぐ後に顕現された山姥切長義。
彼は基本政府から来た伝達を受けてくれている。


「ほら、白状しないと本当…」

「話します！話しますから！」

観念したこんのすけは泣きながら理由を話した。


「主様は現在打刀二振りと短刀のみです。なのに指令のノルマをこなし、就任して三か月になりますのに…重傷はおろか中傷になった刀剣男士が一振りもいないので」

まだ就任して日が浅いが、私の刀剣男士は一度も軽傷以上の傷はない。
そのおかげで資材は有り余ってたが、それが問題になっていたなんてことは。

3→←拗らせ審神者と初期刀

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す