元公安の審神者は歩く人間国宝〜

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私の食事を邪魔した悪党はその後連行された。

私はというと。


「再入院です」

「お前は馬鹿か」

「すいません」


しばらく寝たきりだった人間が暴れた結果、頭に血が上り、あげくの果てに怪我をした私は再入院となった。


主治医も呆れられたのだが、深いため息をつく先生は頭を抱えていた。

「何で退院祝いでまた怪我をするんだ」

「すいません…でも私のお肉が」

「解った。解った…後で食べ損ねたメインディッシュはテイクアウトで届ける」

「えっ、本当ですか」


最後まで食べられなかったメインディッシュを食べられると思うと顔がにやける。

「やっと何時ものお前に戻ったか」

「へ？」

「お前は単純馬鹿のままでいい」

「先生私を傷つけて楽しいですか」

馬鹿を何度も連呼するなんて酷いです！

「人を騙す事も騙されることも、お前には無理だ。単純にできているお前ではな。政府預かりの身となってもお前の根本は変わらんよ」

「はっ…はぁ」

「だからこれからもお前のままでいろ。俺の手元を離れてもお前の持つ最大の武器を捨てるな。いいな」

「はい」

褒められている気がしない。
思いっきり馬鹿だと言われている気がするんだけど。


「だが、お前が警官を辞めてくれてホッとしている」

「え？どうしてですか」

「お前が警官であれば俺はお前を利用しなくてはならない。俺はお前を利用したくない。勿論協力者にもしたくない」


FBI捜査官としてはアウトな発言だけど、先生らしいとも思った。

「先生、口が悪くて協調性が無くて俺様で態度デカくても…優しいですね」

「憎たらしいな」

「もごもご！」

口を掴み上げる先生は容赦がなかった。

だけどこれが私達の通常運転だ。

「先生、またカーネルおじさんのお店に連れて行ってくださいね」

「ああ」

「メニュー全部網羅したいんです。それから約束していたヴェネチアでイカ墨スパゲティーを食べさせてくれる約束も果たしてもらってません」

「病気が完全に完治したら約束しよう」

「はい！」


必ず生き延びよう。
病気を完全に治して私は――。


「先生大好きです」

「知っている」


しばらく先生に会えなくなる。
それが少し寂しいけど、でも、元気になって今度は私から会いに行こう。

私の大好きな先生が誇れるような生徒であるために。

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