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『客寄せ文句』 ページ10

「千早、久しぶりだな。」


『ほんざんすなぁ。てっきりあちきは主さんがあちきのことをお嫌いになりんしたのかと...』


「お前のことを嫌いになどなるわけなかろう、俺はこんなにもお前を愛していると言うのに。」








私に近づき私の腰に手を回すのはおゆかり様の檜山だった。


“愛してる”だなんて安い台詞だと思うのはこの一夜の恋しか見せられない職だからだろうか、それとも単純にこの男を好かないからだろうか。


きっとどちらも当てはまるが、それを表に出してはならない。仮初めでも、この時間だけは夫婦のようにするのがマニュアルだからだ。






『最近はお忙しいのでありんすか?』


「ああ、仕事に熱が入ってな。もう暫くはこうやって時たま来ることになりそうだ。」


『そうでありんすか...』


「幕府の犬に目を付けられた訳じゃねェさ。心配せんでもすぐに元に戻る。他の攘夷浪士とも手を組んだもんだから忙しくなっちまっただけさ。」


『...難しい話でありんすね。あちきは気長に主さんを待ちなんす。』







外がどういう状況なのかは分からないが幕府転覆を目論み一波乱起こすために何か作戦を練っている事だけは分かった。


この男が剣術に長けているとは到底思えないが他の浪士陣と同盟が組める程巷では話題なのか、はたまた交渉術が巧みなのか。








「千早、お前の生まれは吉原だったか?」


『...ええ。でも、昔の事などもう忘れんした。』







吉原の生まれではないが、外の事を聞くために全く分からないと惚けているので、肯定の返事をした。


檜山が教えてくれるのは自分のやっている仕事の話が殆どであるが稀に教えてくれる有名な食べ物や世の中の話は凄く為になる事が多かったりする。







『次もまた無事に来ておくんなまし。』







そんな客寄せの口説き文句を紡ぎ、私は相手の袖を握った。

『傍にいれたら』→←『切れるには勿体ない』



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絹紗(プロフ) - クリームチーズさん» コメントありがとうございます!更新頑張ります! (2019年8月22日 10時) (レス) id: 19a58175b5 (このIDを非表示/違反報告)
絹紗(プロフ) - もりこさん» ありがとうございます!励みになります〜! (2019年8月22日 10時) (レス) id: 19a58175b5 (このIDを非表示/違反報告)
クリームチーズ(プロフ) - 私も今日初見で来たのですが、本当に好きなお話です!更新楽しみにしてますので、頑張って下さい!!!! (2019年8月21日 22時) (レス) id: 7b6c8b39e8 (このIDを非表示/違反報告)
もりこ(プロフ) - 今日初めて拝見したんですが、とてもいいお話ですね!土方さん大好きなのでとても嬉しいです!続きがとても楽しみです、更新頑張ってください! (2019年8月21日 20時) (レス) id: b540dd18b2 (このIDを非表示/違反報告)
絹紗(プロフ) - Decemberさん» コメントありがとうございます!気付けば話が重くなってしまってました笑、更新頑張ります! (2019年8月18日 7時) (レス) id: 19a58175b5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:絹紗 | 作成日時:2019年8月3日 22時

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