『初めまして』 ページ33
「何でお前らこんな所にいるネ!」
「それはこっちの台詞だクソチャイナ。」
栗毛の青年と神楽はすぐに喧嘩を始めてしまったが、止めに入れるほど私には余裕がなかった。
お互い目線を逸らさずに見つめ合う。そんな様子を見兼ねた銀時が私達に話しかけた。
「何?おたくら知り合いなの?」
『...知り合い?』
この関係は言葉で形容するにはあまりにも難しすぎた。客と遊女が正解なのか、情報提供者と言うべきか。私と彼の関係は何が正解なのかわからなかった。
「新八、何これ。聞いちゃ不味かったやつ?」
「二人とも反応に困ってますよ、不味かったんじゃないですか?」
そんなコソコソとした声も聞こえているが、何か答えようにも答えが出てこなかった。結局そんな中口に出たのは
『知らない...』
「はあ?A、今どう考えても知り合いの雰囲気だっただろ?」
「まあ銀さん余計な詮索は辞めましょう、Aさんも知らないって言ってるんですし。」
私は知らなかった。お客の十四郎様ではない鬼の副長“土方十四郎”という人物を。黒の隊服であろう物に身を包み刀を帯刀している彼なんか知らない。
知らなかった貴方を見せられて私は笑いしか出てこなかった。
『...“初めまして”。お名前は?』
「....ああ。真選組副長、土方十四郎だ。お前は?」
『百華の高野瀬Aです。』
そうさ、土方さんとは初めまして。私が愛していたあの客は全て偽りだったのだから。
「よろしく頼む。」
『こちらこそよろしくお願いします。土方さん。』
再会のようで、私の知らない彼との新しい出逢いだった。
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絹紗(プロフ) - クリームチーズさん» コメントありがとうございます!更新頑張ります! (2019年8月22日 10時) (レス) id: 19a58175b5 (このIDを非表示/違反報告)
絹紗(プロフ) - もりこさん» ありがとうございます!励みになります〜! (2019年8月22日 10時) (レス) id: 19a58175b5 (このIDを非表示/違反報告)
クリームチーズ(プロフ) - 私も今日初見で来たのですが、本当に好きなお話です!更新楽しみにしてますので、頑張って下さい!!!! (2019年8月21日 22時) (レス) id: 7b6c8b39e8 (このIDを非表示/違反報告)
もりこ(プロフ) - 今日初めて拝見したんですが、とてもいいお話ですね!土方さん大好きなのでとても嬉しいです!続きがとても楽しみです、更新頑張ってください! (2019年8月21日 20時) (レス) id: b540dd18b2 (このIDを非表示/違反報告)
絹紗(プロフ) - Decemberさん» コメントありがとうございます!気付けば話が重くなってしまってました笑、更新頑張ります! (2019年8月18日 7時) (レス) id: 19a58175b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:絹紗 | 作成日時:2019年8月3日 22時